ｽﾄｰﾘｰ
□シクラメン
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『シクラメン』
前に座っている恭チは２つ年上でジョニーデップとオダギリジョーをミックスしたような、オリエンタルな雰囲気を漂わせるアイデンティティな黒髪美人さん。けれど男性なので美男子さんと表現したほうが誤解がないかもしれない。
タバコの煙で店内を汚染する恭チはほんの１分前まで禁煙していた。けれどその２分前にｱﾀｼがレボを吸ったのでどうしても吸いたくなったらしく『お前が吸ってんの見たら吸いたくなるっしょ』と用意周到に真新しいホープを取出した。ｱﾀｼはｷｬﾊﾞ嬢のように火を差し出した。そして煙りが立ち上ぼり『やめられねぇ』恭チの一言で現在に至る。
ｱﾀｼの隣でメニューを見ている弥生は長いまつ毛が印象的な正真正銘の美人さん。顔が整いすぎていることと、長身がゆえに年齢不詳に見え『んー２６くらいかなぁ』なんて言われて、あからさまに不機嫌そうな表情を見せる彼女もまた美しいと思わせてしまうほどである。
そんな弥生を狙っているのが彼女の目の前に座るｱﾀｼの高校の同級生であるしぃくん。しぃくんにとって弥生は本当に理想の女性らしい。恭チはそんなしぃくんを優しい兄のような眼差しで見つめて、弥生には興味すらうかがわせない。見た目の綺麗さにはどうじない、そんな恭チがｱﾀｼは好きだ。