蓮くんの受難
□VS 科学部部長
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着いた先は生徒会室。
ぼけっとして、突っ立てると、生徒会長に、背中を蹴り飛ばされた。
「へぶっ…」
変な声と共に、漫画のように顔面から転ぶ。
鼻を打ち付けてすごく痛い。
低い鼻がこれ以上、低くなったら、どうするんですか…!
とは、とても、雰囲気が怖くて言えない。
ふと、香るコーヒーの香り。
おずおずと顔をあげると、いつも、板チョコをくれる白衣の先輩が、ビーカーでコーヒーを啜っている。
何故、ビーカー?
疑問に思う。
けれど、それが異様にさまになっていて、僕は呆然と見つめた。
ふと、顔をあげる白衣の先輩。
おいでおいでと手招きされた。
手には、絞り出しクッキー。
匂いに釣られて、近くまでくると、手を引かれて、すっぽりと、その腕に収められてしまった。
「!!……」
びくっと身体が強張る。
けれど、何事もなかったように渡される絞り出しクッキー。
恐る恐るそれを口に入れ、甘ったるいお菓子の味に、張り詰めた緊張が溶けていく。
「白樺先輩。それ、返して下さい」
呆れたような生徒会長の声音。
何故か一瞬、背後の気温が下がったような気がする。
露骨に眉を寄せる生徒会長。
溜め息をついて、頭を振ると、机に置いてあった、書類とペンを僕の前に置いた。