蓮くんの受難
□VS 生徒会長
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入学式の参列中、溜め息をつく。
僕の悩みはマリアナ海溝より深く。
広野より果てしない。
緑ヶ丘学園。
完全全寮制の男子校。
それだけ、聞けば、普通の学校なのだが、この学校は普通じゃない。
銃刀科
鉤爪科
薬品科…
そう、ありとあらゆる傭兵のスペシャリストを育成する学校。
学年の他に、ランクと言うのが設定されていて、入学時や編入試験時に、自分の得意武器で、ランクを決定する。
しかも、武器とランクに応じた授業があるのだとか。
しかも、この制服。
一見、普通の制服に見えて、防弾チョッキなんです。
「無理に決まってるじゃないですか、お父さん」
黒手袋に、丸いビン底伊達メガネ。
かなり、怪しい格好。
それでも、目立たないのは、周りがもっと物騒な方々ばかりなので、浮いて見える事はない。
ライオンは自分の子供を崖から落とすって言うけれど、これじゃあ、崖じゃなくて、地獄です。
もう一度溜め息をつく。
溜め息をついている理由がもう一つ。
僕自身、人が苦手で特に男性がダメだと言う事。
この黒い手袋は直接触れないためのものだったりする。
「やっぱり…無理だよ」
壇上で生徒会長が演説している。
それも気にかける事が出来ないぐらい周りの空気が怖かった。