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□【4】目撃
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「ん・・・」
ツナは、少しの肌寒さを感じて目を覚ました。
かけられていたのだろう布団は胸の下までずり落ちていて、隣に寝ていたはずの人はすでにいない。
「さむい・・・」
むくりと起きあがった体はぶかぶかの服を着ている。
明らかにツナの服ではないけれど、ツナはリモコンを手に取りクーラーを切ると、服をたぐり寄せてクンと匂いを嗅いでそのまままたころりと横になった。
「へへ」
自分の体を包むのは、獄寺の服。
ツナが眠った後、獄寺はいつもこうして自分の服を着せている。
ツナのじゃなく自分のを着せるのは、眠っている人間に服を着せるにはだぼっとしている方が着せやすいのと、着せた後のツナが獄寺の目の保養になるのだとさらりと言われた。
「んー・・・どーしよっかなー」
6時半。ツナにしては、中途半端な時間に起きてしまった。
獄寺が起こしに来るまで二度寝してもよかったが、何となく目が冴えてしまったためツナはお風呂借りようと軽い足音を立てて部屋を出た。
「せんせおはよ・・・」
目をこすりながらぺたぺたと裸足で歩いてキッチンに行くと、上半身裸のままの獄寺が朝食を作っていた。
「おはよう綱吉。また呼び方が「先生」になってるぞ」
「むー」
まるで顔を洗う子猫のような仕草を見せるツナに、獄寺は朝食を作っている手を止めてツナの側に行きその明るい栗毛の髪にキスをする。
「おはよーはやと」
「おはよ。体辛くないか?」
「へいきー。起きた時ちょっと寒かったけど」
「シャワーは?」
「うん、浴びる・・・ひゃっ!ちょっと、お尻撫でんなっ・・・」
下は裸の体の、獄寺が自ら着せた服の中に入り込んだ手が、柔らかくて小さなお尻を撫で回す。
「んー。手触り最高」
「ちょっと、ほんと、やめて、・・・んっ!」
ぴくんと反応した体に獄寺が「あ、やべ」と声を漏らした時には、ツナの膝はガクンと折れていた。
「おっと危ねえ。大丈夫か?」
「大丈夫くないっ!」
倒れる寸前で体を支えてもらいながらも、ツナは目の前の胸板をぽかぽか叩いた。