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□条件反射ですから。
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獄寺と山本はツナより背が高い。


中学生の平均身長より少し高めの山本、平均的な獄寺、平均より少し低めのツナ。


前に、3人で話していたところを少し離れた場所から見ていた黒川が、


「獄寺真ん中にして並んだらあんたら携帯のアンテナだね」


と言ったのを思い出す。


「あの・・・10代目」


「何?」


「俺の顔に何かついてますか?」


どこか戸惑ったような声に、ツナは自分が獄寺の顔をじっと凝視していた事に気付いた。


(ああ、通りで首がちょっと痛いわけだ)


その事実に気付いて、ツナの顔は少し不機嫌になる。


それに慌てたのは獄寺の方だ。


「え!あの、10代目、あの、」


「ねえ獄寺君」


「え、あ、はい?」


「どうすれば背が高くなる?」


そんなツナの問いに一瞬きょとんとして、獄寺はツナの機嫌が悪い理由に気付いて微笑んだ。


「体質や食生活にもよると思いますが、成長期ですから10代目もまだまだ伸びますよ」


「それは君も同じでしょ」


納得のいく答えをもらえずに、ツナの不満顔は収まらない。


「ええと・・・10代目?何をそんなに気にされているんですか?」


確かに、身長差があるのなんて今更なのだけれど。


「だって、」


獄寺はよく不意打ちでツナにキスをする。


話の途中で。話の切れ目に。名前を呼んで、ツナが見上げた瞬間に。


座高も足の長さも負けているツナにはどれも出来ない。


「ずるい」


「・・・すいません、仰りたい事が分かりません」


「ごめん何でもない。ちょっと気になっただけだから」


10代目のお気持ちに気づけないとは右腕失格だ・・・などと、ご主人様に叱られた犬が耳を垂れるようにしゅんとする獄寺に、ツナは笑ってみせる。


うなだれる獄寺の顔を覗き込むと意外と顔が近くなって、ツナは「あ、もしかしたら」と声を上げた。


「獄寺君、姿勢そのまま」


「は・・・」


はい?と獄寺が言い切る前にツナは獄寺の肘辺りの袖を掴み、背伸びをして。


ちゅ。


キスをした。


「やっぱりこれなら届く」


ツナは一人満足して笑ったけれど。


「・・・え、何、どうしたの」


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