時とともに変わらないもの
□17.あの雨の日
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ピンポーン
「獄寺君、お客様」
「誰だよこんな朝っぱらから」
ぶつぶつ言いながらも、獄寺君はちょい待ってろと俺の頭を撫でて出て行く。
たったそれだけの事で、初めてでもないのに、触れられた部分があったかくてつい笑顔になった。
『G』
『何だよ』
『俺は綱吉と話がしたい』
『しろよ。何でわざわざ俺に了解を得ようとする』
『二人だけで話がしたい』
『だからしろって。俺に聞かれたくねえなら、お前がリングに戻ればいいだけの話だろ』
『おお、なるほど。綱吉、戻る』
「あ、はい」
首からかけている指輪をちゃり、と取り出して手に乗せると途端に指輪が光り、ジョットさんはオレンジ色の光になって指輪の中に消えた。
「あ、あの・・・ジョットさんと話す前に、Gに聞きたいんだけど」
『俺?何だよ』
「さっき、完全に意識を奪って体を自由に出来るのは、30分だって言ったよね」
『あ?何だ、あの時もう起きてたのかお前』
しまった!そうだ、あの話の時、俺まだ寝てる事にしてたんだ!
「いや、あ、あの、その話の途中から意識覚醒してたって言うか、夢うつつだったって言うか、その、」
『まあいい。それで、何が聞きたい。確かに30分だけど、それがどうした』
「初めて会った日は違う、から。獄寺君、あの日朝から雨が降ってた事すら知らなかった。それに俺がジョットさんに初めて体を貸した日も。気付いたら、次の日の朝になってた」
『ああ、深くは考えなかったが確かにな。俺も気になる』
「ジョットさんも気になるって言ってます」
「それは俺も気になるな」
ジョットさんの言葉をGに伝えた俺に続いて聞こえた声は、お客様を出迎えに行ったはずの獄寺君。
「あれ、お客様は?」
「宅急便だった。宛名違いだったから受け取らなかったけど」
「そうなの?獄寺君の前にここに住んでた人のかな」
「そうであってほしいもんだ。あれが見間違いじゃないとしたら、名前が同じなだけのただの他人だと信じたい。・・・で?G、さっきの綱吉からの質問の答えは?」
獄寺君の言葉の意味は分からなかったけど、突っ込まれたくないのか獄寺君が話を元に戻したから、俺もGを見る。