時とともに変わらないもの

□6.オレンジ色の瞳
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そうだ。思い出した。


赤い髪、赤い瞳。右頬に瞳と同じ赤い色の刺青のある、背の高い男の人。


モノクロの写真なのに、はっきりと思いだしたら写真の彼もカラーで見える。


(そうか・・・獄寺君の笑顔に懐かしさを感じたのは、この人に似てたからなんだ・・・)


覚えがあると感じた獄寺君の笑顔は、「獄寺君」じゃなかったんだ。


「瞳の色が違った」から、気付かなかった。


「彼」があの時とは真逆の表情しか見せてくれなかったから、思い出せなかった。


あの時笑顔をくれたのは、泣きじゃくる俺を抱きしめてくれたのは、この写真に写ってる人だ。


歳や背格好も、あの時会ったままの彼そのものだ。


(どういう事・・・?それとも、ただの他人のそら似・・・?)


「・・・ねえおじいちゃん。この幼なじみさん、瞳の色赤かった?」


「そうだが、何故綱吉がそれを」


「えっ?あ、えーと、そうだ、肖像画のジョットさんがオレンジの瞳で、付けてる指輪がオレンジ色の石だから、もしかしたら瞳の色と同じ石の指輪持ってるのかなって思って」


「勘がいいな。その通りだ」


おじいちゃんは笑って立ち上がる。そして、何かを探しに行ったのか蔵の奥にさらにある部屋へと入っていった。




考えれば考えるだけ分からない。


何故、誘拐されかけた俺をこの人が助ける事が出来たのか。


「だって、獄寺君がこの人の指輪持ってるって事は、この人は獄寺君のご先祖様になるんだよね・・・」


・・・ん?ちょっと待て。


この人が、獄寺君のご先祖様?


さっき聞いた話では、この人がジョットさんから王位を引き継いだ人で・・・。


子孫である兄弟王子の弟の方が現在行方不明で、兄の方が探してるって。


もしかして、その行方不明の弟って獄寺君の事?


いやいや、弟が日本にいると予想して探すために来た兄って可能性もあるけど。


「うーん」


あれ?そういや俺、獄寺君が前どこに住んでたのか知らないや。


「綱吉?どうかしたのか」


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