ORIGINAL USUAL DAYS
□ふわとろオムライス1.5倍
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全寮制のここ、ボンゴレ高等学校の寮の一つレオン寮の朝は、甘く柔らかい空気で始まる。
カチャ、と静かに部屋の扉が開き、扉を開けた本人が連れてきた朝ご飯のかすかな香りに、ベッドの中の小さな固まりがもぞりと動く。
それに小さく笑みをこぼすのは、この寮の管理人でもある獄寺。
獄寺はベッドに近づき、明るい栗色の髪に触れとろけそうなほどの笑顔でさらりと撫でる。
うにゃ、と小さく漏れた声になおさら笑みを深くして、一旦立ち上がると一気にカーテンをシャッと開ける。
入ってくる気持ちよく晴れた太陽の眩しさを背にして、獄寺は再びベッドに戻り柔らかい声でベッドの主を呼んだ。
「10代目。朝ですよ、起きてください」
「んん・・・あとごふん・・・」
「後10分でも20分でも寝かせて差し上げたいところですが、今日の朝ご飯は10代目のお好きなふわとろオムライスにしましたので、是非召し上がっていただきたいです」
ふわとろオムライス、の言葉を聞いてぴくりと反応し、しばらくもぞもぞ動いて緩慢な動きで起き上がったのは、今年入寮したばかりの1年のツナ。
ちなみに今2人がいるのはツナの部屋ではなく、獄寺の部屋である。
夕べ、「ねむれない」と理由を付けて夜這いよろしくツナが来たのは2時近かったが、それでも獄寺は快く迎え入れ、だっこして眠ったのだ。
これはよくある事。
獄寺が自分だけは無償で最大限に甘やかしてくれる事を知っている、ツナだからこそ許される。
「おはようございます、10代目」
「おはよーごくでらくん・・・」
「さ、着替えを済ませてきてください。その間に、カフェオレを淹れておきますから」
「ん」
眠そうに目をこすりコクンと縦に頭を揺らしたツナを甘い微笑みで見て、頬を包み込みぽふぽふと撫でた。
「バジルも起こそうか?」
バジルとは、二人一部屋のこの寮でのツナの同室者。
「いえ。いつものようにバジルはもう起きて手伝ってくれてますので、そのまま食堂においでください」
「分かったー」
どうぞ、と扉を開けた獄寺に促され、ツナは自分の部屋へと向かった。