5927(短)
□sentimento dolce
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「獄寺君、山本も大丈夫?」
「・・・大丈夫っす」
やけどしてない?焦げたの服と髪だけ?と自分の方がひどい怪我なのに心配そうなツナの痛々しげに腫れた頬に少し隙間を残して手を添え、額にキスをして獄寺は苦笑した。
「獄寺君・・・?」
「10代目、俺達は大丈夫ですから、お一人で動けるようなら先にお戻りください」
「えっ・・・」
「気になるんでしょう?白蘭の様子が」
図星をつかれて、ツナは言葉に詰まる。
側にいた山本やリボーン達は、何時になく寛容なセリフを口にした獄寺に驚きを隠せない。
「・・・でも、」
「俺のこれは10代目に心配していただくほどの事ではありません。ですから今は、10代目が一番お気になさっている所へ行ってください。俺達もじきに戻りますから、・・・!」
言い終わるか終わらないかの内に、ツナが緩く獄寺に抱き付く。
「ごめん・・・ごめんね」
「なぜ謝るんですか?・・・ほら、早く行ってくださらないと、前言撤回してしまいますよ」
冗談めいて笑いながらポンポンと軽くツナの背中を撫でると、ツナは小さくコクンとうなづいて立ち上がり、ハイパー化して飛んでいった。
「・・・何だよ」
山本がニヤニヤしている事に気付いて睨みつけるが、いつもの如く効果はない。
「いやあ、珍しいモン見たなと思ってよ」
「うっせーな」
「俺も思ったぞ」
いつものようにしゅたっと山本の肩に飛び乗り、リボーンも笑っている。
「大人になったな獄寺。ツナを他の男の所に自ら行かせるなんて」
「・・・そんなんじゃないっすよ。ガキすぎるほどガキです、俺は」
獄寺は、ツナが飛んでいった方に視線をやる。
「俺と一緒にいるのに、他の男の事を考えている10代目を見たくなかった。醜くて心の狭い、ただの嫉妬です」
「冷静に判断して自分がまだまだガキである事に気付けただけでも、大きな進歩だぞ」
「それ褒めてんすか?」
「一応はな。自分の度量がどれだけ狭いのか気付くのも、大切な事だ」
「褒められてる気がしないっす」
「そうか?」
リボーンがニヤニヤしているままなのを見てうなだれる獄寺の様子に、山本が笑った。