贈呈したもの

□願いごとはただひとつ
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「わー、雪止んだね」


「そうですね、昼間あんなに降っていたのに。10代目、ご飯まで後少しあるんでその前に風呂行きませんか。露天があるそうですよ」


「ほんと?行く行く!」


「俺はここで雪見てる。絶景かな、ってな」


「俺も行く!けどちょい待っといてくんねえかな、親父に電話してくる」


ここ携帯の電波入んねえ、と呟きながら部屋を出る山本にずっと電話してろと吐き捨てる獄寺に、まあ待ってようよとツナが笑う。


久し振りの三連休初日、獄寺とツナは山本、ディーノと共に雪山の山荘にいた。


商店街の福引きで当てた、ペア宿泊券2枚。


当てたのは、奈々のお使いのついでで福引きをしたツナと、父親にどうせ当たんねえだろうけどよと福引き券を譲ってもらった山本。


最初は奈々達に譲るつもりだったのだが、せっかく当てたんだからとツナと獄寺が行く事になり。


店は休めねえという山本の父親の代わりに、都合が付いたディーノが保護者代わりに行く事になり。


さらに、知り合いだと言ったら気を利かせて同じ部屋にしてくれたのだ。


「くっ・・・山本さえ福引き当たらなきゃ10代目と2人きりだったのに・・・!」


「まあいいじゃない、人数いる方が楽しいし」


さめざめと本気で悔しがる獄寺の頭を、ツナは笑いながら撫でる。


「10代目は俺と2人きりだと楽しくないんですかああ!」


「そうは言ってないだろ。君と2人でも楽しいけど、賑やかじゃん・・・って何で本気で泣いてんのさ」


ぐす、と涙ぐむ獄寺の頭をもう一度撫でる。


「わり、長くなった・・・獄寺何で泣いてんだ?」


「わ、山本、いいの気にしないで・・・」


獄寺の涙をぐいぐいと拭きながら、慌てて山本の方を見て愛想笑いをしたツナの動きが止まった。


「・・・10代目?」


「・・・・・・」


獄寺も不思議がって声をかけるが、ツナの視線は山本で止まったまま。


「んん?何だ、俺どっか変か?」


「・・・・・・」


「ツナ?どうした?」


「10代目。・・・10代目?」


獄寺に目の前でパンパンと手を叩かれ、ようやくツナは我に返る。


「え?あ、ごめ、何でもない・・・」


(何だ、今の、感覚)


「何でもないなら何で山本見つめてたんすか」


「いや別に見つめては、・・・見つめてたけど」


「10代目ぇぇぇ!」


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