贈呈したもの

□願いごとはただひとつ
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次に目が覚めたのは、温かい布団の中。


話によると、電話を終え部屋に戻った本当の山本とディーノの話が噛み合わず、異変を察してツナと獄寺を探してみたけれどどこにもいなくて。


もしかしたら気配を追えるかもしれないと山本が次郎を出したら瓜の気配を感知したらしく、その気配を追ってディーノの匣アニマル・天馬スクーデリアで助けに来てくれたらしい。


3時間の間、外も同然のあの小屋にいた割にはツナも獄寺も健康体のままで。


ゆっくり体を温めるといいと言うので、改めて探した「秘湯」は、秘湯とするにはあまりにも分かりやすい場所にあった。


身も心も温かくなりながら、ツナと獄寺はあの時の事を思い返す。


「何で「俺達」だったんだろうね」


「そりゃあもちろん、10代目が素晴らしいお方だからです!」


「あはは。・・・でも結局、あれは何だったんだろう」


「きっとUMAですよ!」


ぱしゃん、お湯を鳴らして力説する獄寺に、ツナは言うと思ったと笑う。


「俺はね、「風」だったと思う」


「風・・・ですか」


「小屋にいた時さ、すきま風は吹いたけど強い風って吹かなかったし、あのすきま風が「彼」自身だったんじゃないかって」


それに。


『ごめんなさい』


小さく聞こえたあの声は。
・・・あの風だったんじゃないかと。


ツナ達といたいけど、自分があまり強く吹いたら凍えさせてしまう。それでもまだ温かい場所に戻って欲しくなくて。


「・・・って、これじゃまるっきり女の子発想だね」


照れ隠しで笑ったら、獄寺はとんでもないですと優しく微笑んだ。


「10代目、またここに来ましょう。今度は、福引きではなくちゃんと自費で」


ツナの体を抱き寄せる。


貸し切り可の秘湯、山本とディーノが気を利かせてくれたから2人きりな事もあり、ツナも抵抗しない。


「そして、また「あいつ」に会いにきましょう」


瞼にキスする獄寺に、うんと嬉しげに微笑んで。


「帰りにも、あの小屋に寄ろうね」


「はい。今度10代目をあんな目に遭わせたらぶっ飛ばすと釘刺しといてやります」


「ふふっ。また君はそんな、」


『出来るもんならやってみろっての』


聞こえた声にツナが顔を上げれば、さらりと頬を撫でた風がクスクス笑っているような気がした。



終わり!



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