ORIGINAL USUAL DAYS

□トリュフに口づけ
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この日、コスモ寮のキッチンは朝から賑やかだった。


「去年はどんなの作った?」


「誰にあげましたか?」


「私は、去年は誰にも・・・」


「私は骸ちゃんに。当然本命よ!」


きゃっきゃと可愛く笑い声をあげるのはコスモ寮の寮生、京子、ハル、凪、M・M。そして。


「俺はねぇ、去年のチョコは買っちゃった。だから今回はちゃんと自分で作ろうかなって」


「ふふ、獄寺さんの喜ぶ姿が目に浮かびます」


ユニとにこにこ笑顔で機嫌よく会話をするツナ。


「あんたも大変よね、本命がその気になれば三つ星レストランのシェフにもパティシエにもなれるくらいの腕持ってるとさ」


その横で、チョコ作りには参加はしないらしい花が茶々を入れる。


「獄寺君はおいしいですって食べてくれるもん」


「そりゃあんたが作ったもんをまずいとは言わないでしょうよ、あの獄寺が」


「む。黒川、恋人がいる俺が羨ましいなら羨ましいって言いなよ」


「ふざけた事言ってるとはり倒すわよ。何であんたなんか羨ましがらなきゃなんないのよ」


「もう、花もツナ君もそれくらいにしよ?ほら、チョコレート溶け始めたよ」


京子に言われて湯煎にかけたボールを見ると、チョコが端の方から溶け始めていて。


「ちょっと沢田、何よその量。もしかして私の骸ちゃんにもあげるんじゃないでしょうね」


さてかき混ぜようとヘラを手にしたところで、隣にいたM・Mが手元を覗き込んできた。


「やですね、M・M先輩。俺は、俺の獄寺君にしかあげないもん。骸になんかひとかけらだってあげないんだから」


「なんかって何よ!」


「ツナさん、M・M先輩、かき混ぜないとうまくチョコが溶けませんよ」


「あっそうだね、ありがとうハル」


「何あんたもトリュフ作るの?」


「はいっ。上手なまるめ方教えてくださいね、M・M先輩」


「全くしょうがないわね。って沢田、馬鹿のようにそんなグルグルかき混ぜるんじゃないわよ」


「私も骸様にトリュフ・・・」


「何よあんたも作るの?」


コクンと頷くのは、凪。


「しょうがないわね、こっち来なさいよ」


いつもなら骸の事で一方的に凪を敵対視しているM・Mだが、チョコを渡したい気持ちは分かるのか今日は協力的だ。
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