贈呈したもの
□さいしょのプレゼント
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「山本君じゃないわよ。あなた、あんな綺麗なお友達いたのね。モデルかと思っちゃった」
「え?」
「銀髪に緑色の瞳って珍しいわね。どこの国の子?日本語は堪能だったけど」
「・・・!」
直感で、それは隼人だと思った。
しかも、奈々が来客に気付きその特徴までも知れたという事は、奈々にもちゃんと「見えている」という事。
あわてて部屋を出て階段を駆け下りる。
そこにいたのは。
「綱吉さん、おはようございます!」
覚えのある言い方、覚えのある笑顔。
でも、声は少し低くなり顔つきも男らしくなって。
「・・・は・・・やと?」
こんなに綺麗な顔をした人は早々いないと思っていても確証の取れないらしいツナに、にっこりと笑った。
「約束したでしょう?俺をプレゼントするって。だから約束通り、プレゼントしに来ました」
「な、んで、消え・・・?」
「あれは俺もびっくりしました。何でも、いくら俺がサンタクロースだと知っていたとしても、人間に姿が変わるところは見られてはいけないみたいなんです」
無理矢理連れ戻されちゃいました、と照れたように笑うその顔は、知っているそれより少し大人びていて。
今目の前にいる隼人は、確かにツナと同年くらいだった(身長はちょっと隼人のが高い)。
「何だよ・・・こんなでかくなっちゃって。もう抱っこしてやれないじゃん」
トン、とツナが隼人の肩に頭を預けると、ツナがそうしていたように今度は隼人がツナの頭を撫でる。
「サンタの服じゃないんだね」
「お母様をびっくりさせてしまうでしょう?」
「今日はイブだよ?コスプレしてる人もいるし、驚かないよ」
隼人は、小さい時には肩車してもらわないと出来なかった、ツナの髪に頬を寄せる仕草を見せた。
「クリスマスプレゼント、喜んでいただけましたか?」
「予想以上にね」
ツナは体を離し、自分より上にある頬を両手で包み込む。
「もうどこにも行かないでね」
「はい。サンタの仕事の時以外は側にいます」
「そこは「はい」だけでいいんだよ」
まじめな隼人の言葉に笑って、ツナは幾分自分より大きくなった隼人を抱き締めた。
終わり!
→後書き