贈呈したもの
□さいしょのプレゼント
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「あい!そして今日はイブイブです!」
ツナが肩車をした(もちろん皆には見えていない)隼人は、ツナの頭に抱きついてはしゃぐ。
どう見ても5歳くらいの身長にしか見えない隼人は、ツナの中では「綺麗な顔をしたちびっ子」が常識になっているため、自分と同じくらいに成長した隼人が中々想像出来ない。
「でも隼人って絶対イケメンだよね」
「いけめん?」
言葉の意味が分からず首を傾げる隼人に、「すっごくかっこいいって事だよ」と教えてやる。
「だって、綺麗な顔してるなーって思うもん。絶対そうだよ」
「そんな事ないです。きっと綱吉さんの方がかっこいいですっ」
「あはは、盲目的だなぁ隼人は」
「違います、綱吉さんは本当にかっこいいんですっ。だって、俺を見付けてくれたじゃないですかっ」
「それこそ違うよ。隼人が俺を選んでくれたんだよ」
自分の頭をかくような仕草で、ツナは自分の頭にある隼人の手を撫でた。
「ありがとね。俺のとこ来てくれて」
包んだ下の小さな手が、ピクリと動く。
「俺、贅沢者だよね。こんなに綺麗な子一人占めしてるんだから」
「俺も!俺も贅沢者ですっ。綱吉さんにたっくさん抱っこしてもらってます」
嬉しげに弾む声に微笑みを返したのが、この時の最後の会話。
「おーツナ。どうした頭に手乗せて」
声をかけてきたのは、山本。
山本にももちろん隼人は見えていないから、ツナのそんな仕草を不思議に思ったらしい。
「おはよ山本。何だかね、じんじんするんだ」
「何、どっかで打ったのか?見せてみ?」
「ううんそんなんじゃなくて、じんわり暖かいって言うの?それより、山本は今から部活?」
そんな会話の間中・・・いや、今から野球部の練習なんだと言う山本と別れても、隼人の手を包んだツナの手は下に降りなかった。
隼人はそんなツナの優しい手に頬を寄せ、「綱吉さん、綱吉さん」と何度もツナの名前を呼んだ。
「なあに、隼人?」
「綱吉さん、大好きです」
それは手に伝わる頬の温もりから気持ちが伝わるほどに、幸せそうに。