贈呈したもの
□さいしょのプレゼント
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「綱吉さん、何か欲しいものはありますか?」
「欲しいもの?」
その日の夜、きらきらした目で隼人が聞いてくる。
「俺、綱吉さんにクリスマスプレゼントあげます。最初にあげるのは自分が見えてる人間だと決まっているし、もし決まってなくても俺は綱吉さんが最初がいいです。何がいいですか?」
「そっか、隼人はサンタクロースだもんね。そっか、うーん・・・」
隼人を膝に乗せた状態で、ツナは腕組みをする。
今、特に欲しいものはない。少し前なら即答で「今度出る新作ゲーム」と答えていたけれど、今は隼人がいるからそれだけで楽しいし。
「そうだなぁ・・・隼人かな」
「俺ですか?」
「うん。だって隼人俺の側にずっといてくれてるじゃん、この一ヶ月。クリスマスが来たからさよならなんて、寂しいよ」
隼人を抱き上げ、胸にきゅっと抱き寄せる。
「何つっ・・・」
「分かりました!」
かなり恥ずかしい事を言っていると我ながら感じ、何つって、と冗談にしようとしたが、その前に元気な隼人の声にかき消された。
「綱吉さんは、俺がいいんですね?だったら俺、綱吉さんには俺をプレゼントします!」
「・・・はや、と?」
「待っててくださいね綱吉さん。明日、明日必ず俺をプレゼントします」
笑顔のはずの隼人の顔が見えない。
「隼人!」
さっきのように抱きしめようと伸ばした腕は、宙を泳いで。
隼人は、笑顔のまま、言葉のままの意味でツナの前から消えた。
時計の針は、そろそろ24日になろうとしていた。
「ツナ、ツっ君起きなさい。もう、お休みに入った途端にお寝坊さんに逆戻りね」
久しぶりに奈々の声で目を覚ました。
『綱吉さん起きてくださーい』
あの笑顔は、もう見れないのだろうか。
(隼人、俺をプレゼントしますって言いながら消えるって、何なの)
起きる気分にならなくて、起きてない振りをして布団に潜り直す。
「ツっ君起きなさい。お友達が来ているのよ、待たせたら悪いでしょ」
「友達・・・山本?」
どうやらおとなしく寝かせてくれないらしい母親に、ツナはしょうがなく起きあがる。