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□奇跡の幸せ
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リボーンに「大至急来い、何を差し置いても来い、例え家中のダイナマイトが誘爆ぶちかまして部屋ん中グッチャグチャに全壊しようとも来い」と、半ば脅されるような電話をもらい。
訳も分からず訪れた沢田家、ツナの部屋で獄寺の目に飛び込んできたのは。
「どっ・・・どうされました10代目!?」
ハラハラハラと静かに涙を流すツナが、そこにはいて。
「ごくでらくん?」
獄寺の姿を見た途端、ツナはおぼつかない足取りで獄寺に駆け寄り、ぎゅうっと抱きついてきた。
「ごくでらくん」
「はい、ここにいますよ。どうされました?」
自分より一回りは小さなツナの体を抱きしめ、髪にキスして背中を撫でると、ツナが小さく「あのね」と呟いた。
「ずうっと、いっしょにいてね」
「はい、ずっと10代目のお側にいます」
「りぼーんがね、ごくでらくんにはいっぱいあまえていいって、いったの」
「・・・?10代目?」
まるで幼い子供のようなしゃべり方。愛らしいと獄寺が絶賛するその表情は、いつもよりさらに幼く頼りなく。
そこでようやく、ツナがどこか様子がおかしい事に気付いた。
「やっと気付いたか」
リボーンがやれやれとため息をつく。
「リボーンさん?10代目は一体どうされたんですか?」
「前に、ランボが中身はそのままで体だけ入れ替わった時の話は知ってるか」
「はい、10代目からお聞きしてま・・・まさか」
「そのまさかだ。体は14歳のまま、中身だけ10年前と入れ替わっちまった」
「なぜ10年後ではなく10年前なんですかとは、愚問ですね。中身だけ入れ替わってる事でだいたいの予想はつきます」
「そうだぞ。また10年バズーカが壊れやがった。ちなみに、入れ替わってすでに30分だ」
「本当に、今度きっちりあのアホ牛にはお仕置きしておかなければなりませんね」
「ごくでらくん」
「はい、10代目」
幼い仕草でくいくいと服を引っ張るツナに、獄寺は即座に反応して笑顔を見せる。
そんな獄寺に警戒心なく近づいて、ツナはぺたりと獄寺の頬に手を置くと、にこぉと笑った。
「おめめ、とってもきれい。みどりいろきらきら」
獄寺が嫌がる素振りを見せないのをいい事に、ぺたぺたと遠慮なくツナは触り続ける。
「ありがとうございます。10代目の琥珀色の瞳も、とても澄んでいて美しいですよ」