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□奇跡の幸せ
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「・・・と、いう事なんですが・・・あの、10代目・・・?」
話している間、最初はうんうんと聞いていたツナの顔が途中で何かに気付いた表情になり、ついには真っ赤になってうつむいてしまった。
「じゅうだ」
「夢だと思ってたんだ」
再び呼びかけようとして遮られた声に、獄寺ははい?と視線で答える。
「小さい時の記憶に、す、・・・すごく綺麗な男の人と散歩した、っていうのがあって。俺も、その人くらいに成長してて、・・・緑色、の、瞳で微笑まれるたび、すごいドキドキして、好きに、なった」
恥ずかしさからか、ツナは顔だけじゃなくて手までも真っ赤だ。
「でも、・・・その人に、好きな人は、あなただって、伝えようとする前までしか記憶がなくて、それを母さんに言っても夢を見たのねって笑われたからそうかなって思っちゃって、あの、」
「では、あの時仰った好きな人とは、・・・俺の事ですか?」
ツナはますます顔を赤くしてうつむき、答えない。
「10代目?」
そんなツナの反応が可愛くて獄寺が笑いながら頬を包み込むと、ツナが過剰なほどビクリと体を震わせた。
「分かって、る、なら、言わせない、でよ」
「あなたの口から聞きたいんです。・・・だって、愛する人に10年前から好きでいてもらえたなんて、「奇跡の幸せ」じゃないですか」
「「奇跡の幸せ」・・・そう、だね。俺も、将来自分を愛してくれる人に10年前にすでに会ってたなんて、奇跡だ」
ツナにしか聞かせない獄寺の柔らかな声に、ツナも顔を上げて獄寺にしか見せない顔で笑った。
「まったく、君は本当に俺を惹きつけるのがうまいんだから」
「おそれいります。・・・ところで10代目、リボーンさんに俺の事はなんと聞いていたんですか?」
ツナは一瞬ぴたりと足を止めた後、急に早足になって獄寺から離れる。
「秘密」
「ええっ、何でですか、と言うかお待ちください、なぜ早足で・・・!」
「待たないし教えない!」
慌ててついてくる獄寺から逃げながら、またツナの顔は赤くなっていた。
『獄寺 隼人。こいつだけはお前にとって誰を差し置いても信用できる男だ。誰よりもお前を守りお前を愛しお前を信頼し、そしてお前もそんなあいつにしか見せない笑顔であいつを愛しているからな』
終わり!
リボーンの言葉を4歳ツナがどこまで理解出来たかは分かりませんが、
「ごくでらくんはおっきいつっくんがいちばんだいすきなひと」
だとは理解出来てるといいです(*´∀`*)
ちなみに10年前に飛んだ14歳ツナはずっと部屋でぽけーっと過ごしてました(笑)。