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□奇跡の幸せ
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「シャーペンなんぞ持たせてみろ。上を押せば芯が出てくる様子を面白がって、かっこうの遊び道具になるぞ。本末転倒だ」
じゃあ俺はでかけるから後はお前に任せる、とリボーンはツナを獄寺に丸投げしてどこかへ行ってしまった。
「お寒くないですか?10代目」
「うんっ。みみにも、もこもこつけたよ。あったかいの」
普段ハイパー化してない時でも幼い雰囲気を感じさせるツナだが、今は中身がリアルに幼いため、獄寺に見せる笑顔は無邪気そのもので、獄寺の頬は自然に緩みっぱなしだ。
「ごくでらくんとおさんぽ、おさんぽ」
とはしゃぐ姿は大変に可愛らしいが、それを喜ぶとともに、この無垢なツナにリボーンが自分の事をこうも懐いてくれるような説明をしてくれたのだと思うと、また一つツナの「右腕」として認めてもらえたようで、その喜びもひとしおだ。
「お外は危ないですから、手を繋ぎましょうね」
「うん。つっくん、ごくでらくんのそばからはなれない」
「・・・・・・」
「ごくでらくんどうしたの?はやくおさんぽいこー?」
(そのお可愛らしさはすでに犯罪級です10代目・・・!)
床に手と膝を突き心の中で歓喜の涙を流していると、髪に撫で撫でと柔らかい感触がした。
「ごくでらくん、おなかいたいの?」
見ると、ツナが心配そうな顔で一生懸命獄寺の頭を撫でている。
「おやすみする?つっくん、ずっとそばにいてあげる。いっぱいいいこいいこしてあげる」
ついには、ふにゃと泣きそうな顔になってしまって、反応の遅れてしまった獄寺は慌ててツナの頬を包んで笑顔を見せた。
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ、何でもありません。10代目はお優しいですね」
幼いツナは指で頬を撫でられるのが好きらしく、ちょいちょいと獄寺が指を動かして頬を撫でるたびに擽ったそうにしながらも嬉しそうに笑ってくれた。
下に降りて、ツナに靴を履いてもらっている間獄寺はリビングに顔を出す。
そこにはランボもいたが、いつもは憎まれ口を聞いてくるのに、さすがにばつが悪いのか目が合った瞬間さっと逸らされて、突っかかってこないなら別にこっちから仕掛ける必要もないと、獄寺もランボの背中から視線をはずした。
「お母様すみません、じゅ・・・綱吉さんと出かけて参ります」