贈呈したもの
□表情―espressione―
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コクンと頷く。
でも黙っているのも良心が痛むから、どんな顔を見せるのか見てみたくなった、とも話して。
「そうか。では、俺はどんな顔をしていた?」
優しい顔をして微笑むプリーモ。笑顔でもさっきとは違うその表情に、俺はためらいがちに口を開いた。
「こう言ったらプリーモに対して失礼になるかもしれないけど、・・・とても可愛い顔をして笑ってました」
「可愛い・・・俺がか?」
「ぶはっ!」
俺の言葉にプリーモが首を傾げると、Gさんが吹き出す。
「Gてめえ、10代目の崇高なるご感想に何吹き出してやがる!」
「崇高ってお前な!」
何かがツボにはまったらしく、Gさんは珍しく声を上げて笑い続けた。
「あー悪い悪い。言っとくがな獄寺、俺は別にデーチモが言った事を馬鹿にして笑ったんじゃねえんだ」
ひとしきり笑ったGさんは、いつになく優しい瞳をして俺の頭にぽんと手を置いた。
「同じ事、俺も思ってたからな」
「同じ事?」
「こんなに可愛いジョットを見るのは久しぶりだって」
「なっ・・・かわっ・・・こらG!」
恥ずかしまぎれに言い返そうとしたプリーモを、Gさんは頬をぽむぽむと撫でる事で宥める。
「デーチモ、別に気なんか使ってくれなくていいんだぞ。あの頃よりは、会おうと思えば自由に会えるしな」
撫で撫で。
「Gてめえ、誰に断っていつまでも10代目の頭撫でてんだよ!」
「わっ」
Gさんから引き離すかのように俺を抱きしめて、ガルルと今にも噛みつかんばかりの獄寺君にGさんはまたおかしそうに笑って。
「頭撫でるくらいさせろよ。俺の可愛い恋人の後継者だぞ?」
「かわっ・・・」
素早くプリーモの頬を引き寄せキスをして、獄寺君が俺にしてるようにプリーモを後ろから抱きしめた。
「10代目、」
「しないよ!キスしないよ!そんな事まで張り合おうとしないでっ」
じたばたと、逃げられない獄寺君の腕の中。
精一杯の抵抗をした後、結局プリーモ達の前でキスされてしまうんだけど。
神社の前に4人の存在、2組の影。
Gさんに抱き締められたまま、プリーモが「まるで神に俺達の仲を見せつけているようだ」と、無邪気に笑った。
終わり!
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