贈呈したもの
□表情―espressione―
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いや、シチュエーション的に俺も獄寺君抱きしめ返したいのは山々だけど。
「あの、獄寺君?人見てるからいったん離れよ?」
あああ、さっきの人と俺ばっちり目が合ってる。
「誰も見てませんよ」
「いえすいません。見てます」
「うおっ!・・・何だてめえ、いつの間にそこにっ」
彼の声に、獄寺君は大げさなほどにびくっと肩を震わせる。
え、もしかして本当に気付いてなかった?
「獄寺君、この人俺達より先にここにいたよ?あの、ごめんなさい、変なとこ見せちゃって」
「いえ。仲いいんですね」
「仲いいも何も、俺と10代目は恋び・・・」
「わー、ストップ!ほら獄寺君も謝って!いるのに気付かないなんて失礼なんだからっ」
「そっちも大丈夫ですから、気にしないでください。声をかけないとチームメイトにも存在に気付いてもらえない事が多々あるんで、慣れてます」
「多々って、」
「あ、10代目。本屋を出るみたいです、俺らも行きましょう」
「うん。・・・あの、本当にすみませんでした」
俺がぺこりと頭を下げるとまたその人も下げてくれて、後はもう本当に気にしていないかのように読んでいたらしいバスケットの雑誌に視線を落とした。
本屋を出ると、プリーモとGさんはカフェ、ゲームセンター、雑貨屋、CDショップ、色んなお店に入った。
どこに行っても目立つから少し離れていても居場所は分かって、遠目でも分かるくらいプリーモは俺達に見せない顔をGさんに向けながらはしゃぎ、Gさんもそんなプリーモの後を着いていきながらどこか楽しそうだった。
そして、そんな2人が最後にたどり着いたのはなぜか並盛神社で。
着いたと呟いて、んー、と伸びをして笑顔でプリーモが姿が見えていないはずの俺達の方を見た。
「やはり俺達と言えばここだな。お前達もそう思うだろう?」
「出てこいよ。ついて来てんのバレバレなんだよ、デーチモに獄寺」
プリーモに続いてGさんにもそう言われて、無視するわけにもいかず俺達は素直に2人の前に出た。
「ったく、ついてくるなら来るで最初からいりゃよかっただろうが」
「そう言うなG。結果ついて来はしたものの、最初は純粋に2人きりにしてくれようとしたのだから。そうだろう?」