贈呈したもの
□いくつ季節が過ぎても
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ツナと獄寺が出会って、4年が過ぎた。
「マフィアになんかならない」が、次々無謀ともいえる試練を与えるリボーンへの口癖だったツナのそれも、望んだ運命ではないにしろ最近では自覚してきたのか言わなくなった。
中断されてしまったが、一度は行われたボス継承式。
仕切り直しにはまた多大な時間がかかり、早くてもツナが高校を卒業する頃だと、あの家庭教師様は言い放った。
その間に、きちんとした覚悟を整えておけと。
今は一部を残し、ツナがボスになる事に異を唱える者はいない。
あの、一度はリング継承を争い反対勢力の要とも言えていたヴァリアーですら容認する構えを見せているのだから、表立った反対勢力はほぼ沈下しつつあるがくすぶりはある。
ツナ自身抵抗も全くないと言えば嘘になるけれど、何かを頑張ったら、何かをやり遂げたら。
「さすがです、10代目。よく頑張りましたね」
大好きな人が、綺麗な瞳を愛しげに細めて笑いながら抱き締めてくれるから。
「絆されてるよなぁ」
目の前で真剣に日誌を書いている獄寺の銀色の髪を見ながら呟くと、獄寺が手を止めて顔を上げた。
「10代目?何か仰いましたか?」
「ううん。日誌、もう書き終わる?」
「はい、すみません。もう少々お待ちいただけますか」
「うん」
にこっと笑うと、獄寺もにこっと笑顔で返す。
獄寺も変わったと、ツナは思う。
前だったら、こんな風に待たせていると焦りに焦って適当にしていたのに、今はツナが待ってるよと言えば「ありがとうございます」と嬉しそうに笑う。
高校に入って少し髪型も変え、中学の頃より短くなったそれは、中二の時に行った未来で会った「10年後の獄寺」とそっくりで、ドキリとしたものだ。
(そっくりってか、本人なんだけどね)
ツナは腕を伸ばして獄寺の髪に触れ、それからサラサラと撫でる。獄寺がクス、と笑った。
「お暇ですか?」
「それもあるけど、撫でたいなーって思ったから。撫でててもいい?」
「お好きなだけどうぞ」