贈呈したもの

□一番大切な人
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突如リボーンから聞かされた衝撃的な言葉。


「獄寺のとこに見合いの話が来たぞ。相手はマッローネファミリーのボスが溺愛している一人娘だ」


「どうせ断るでしょ、獄寺君だから」


そう言って笑った俺に、リボーンは言った。


「「見合いの話が来てる。話だけでも聞け」。俺が言ったのはこうだ。最初はそりゃ渋い顔もしたが、相手の名を言ったら二つ返事で承諾した」


「ボス」として、「部下」のお見合いを容認しろと。


そんなの、


俺に出来る訳ないって、分かってるはずなのに。











一番大切な











獄寺君の執務室に向かう。


迷いなくばぁん!と勢いよく扉を開け放つと、中で獄寺君に業務連絡をしていたらしい子はその激しさと入って来たのが俺だと気付いてギョッとしたみたいだけど、獄寺君はいたって冷静だった。


「どうなさいました、10代目。そんな乱暴になさるなどあなたらしくない」


「リボーンから話聞いたって言えば、分かるよね」


抑揚なく言えば、獄寺君はしばらく俺を見つめた後部下に視線を移した。


「席を外してくれ、続きは後で聞く。そしてしばらくここには誰も来ないよう、他の奴らにも伝えろ」


「はい、わ、分かりました」


獄寺君にペコリと頭を下げた部下は同じように俺にも頭を下げて、そそくさと逃げるように執務室を出て行った。


「どうぞ、お座りください」


ソファを勧められて、間を置いてゆっくり動いてぽすんとソファに座る。


「後でご報告に伺うつもりでした」


「・・・じゃあ、本当なんだ」


「ええ。先方が、どうしてもと仰るものですから」


「急だね」


「はい。申し訳ありません」


「お見合い、するだけだよね?結婚、とか、」


「しますよ。結婚を前提としたお見合いです」


「・・・・・・!」


(どうして)


どうして、そんな風に普通にしていられるんだろう。


罪悪感など微塵も感じていないのだろうその態度。


俺との関係を、この人はどう思っているんだろう。・・・いや、どう思って「いた」んだろう。


「・・・だ」


「10代目?」


「やだ・・・やだやだやだやだ!絶対認めない!」


それ以上言葉に出来なかった。


(最低だ、俺)


一番大切な人が幸せになろうとしてるのを、祝福できないなんて。
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