贈呈したもの

□sweet eve
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なでなでと頭を撫でて、ぽむぽむと背中も撫でるとようやく落ち着いたのか、獄寺もぎゅっとツナを抱き締めてきた。


「こんな時間まで何してたんですか?」


「秘密」



「なぜで・・・あれ?10代目、いい匂いがしますね?」


「・・・気のせいじゃない?」


制服が汚れるといけないからと、了平が服を貸してくれた。


制服に着替え直したのはご飯を食べた後だから、制服に匂いがついているはずはない。


「いえ、やはり・・・」


くんくん、と獄寺はツナの首筋に鼻を近づける。


「くすぐった・・・」


身を捩ろうとして、目に入った自分の鞄。


(あ!)


匂いがするはずだ。チョコレートそのものを、ツナは持っているんだから。


「そだ、京子ちゃんとこで晩ご飯食べたんだ!その匂いかもっ」


「いえ、おかず系ではなくもっと甘い・・・お菓子のような・・・」


何とか意識をチョコからそらそうとするけど、獄寺は誤魔化されてくれなかった。


「この匂いは、チョ」


「気のせいだってっ!」


「はい分かりました。でしたら」


獄寺は何でもお見通しだと言わんばかりにツナを抱き締める腕で優しく髪を撫でて。


「明日のお楽しみにしておきますね」


獄寺は、気付いてしまった。


なぜ今日ツナが京子の家に行ったのか、なぜ頑なに獄寺がついてくるのを嫌がったのか、なぜ行く理由すら教えてもらえなかったのか。


明日は、バレンタインデーだから。


「・・・誰も君にやるなんて言ってない」


「誰に渡すんですか?」


くすくすと笑いながら。分かって聞いている。


「・・・甘いの苦手なくせに」


「あなたからいただくものに、好き嫌いなんてありません」


「・・・都合のいい舌だね」


「あなた限定です」


ですから、と。獄寺は甘い匂いのツナにキスをして。


「俺以外の誰にも、それ、渡さないでくださいね」


「当たり前だろ」


顔が見えないように獄寺の胸元に顔を埋めた。


「君のために、作ったんだから」


自分を抱きしめている獄寺が、とても嬉しそうに笑ったような気がした。



終わり!



あれ?渡さず終わった(笑)。
バレンタイン前夜って事で!

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