贈呈したもの

□sweet eve
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「「食べるなんてもったいないです!」とか言いそうだよね」


「それ去年言われた。コンビニで買った普通の板チョコだったのに、びっくりするくらい喜んでくれて」


「獄寺君にとっては、ツナ君から貰ったもの全てが宝物なんだよ。羨ましいな、そこまで思ってもらえる相手がいて」


「そ、そう?・・・あ、そういやごめんね、京子ちゃん家お邪魔する事になって。家だと油断するとすぐつまみ食いするランボがいるし、ビアンキに手伝ってもらうとポイズンクッキングになっちゃうし」


「いいよー。花ね、渡す相手がいないからって毎年チョコ用意しないの。今年もしないんだって。だから夢だったんだ、友達とチョコ作りするの」


(黒川、大人ランボはあきらめたんだ)


京子の話に笑いながら、「友達」とはっきり言われたのに普通に受け入れている自分に、「あんなに好きだったのに、げんきんだな俺」と、ツナは思った。






何とか悪戦苦闘しつつもチョコは無事出来て、了平の勧めもあって夕食までご馳走になって京子の家を出た。


「色々ありがとう京子ちゃん。ご飯もごちそうさま」


「ううん。また明日ね、ツナ君」


「送っていこうか、沢田」


「ありがとうございます、お兄さん。でも」


ちらり、と誰もいないはずの背後を見てツナは少し笑う。


「俺も一応男なんで。一人で大丈夫ですよ」


「そうか?極限に気をつけて帰れよ」


「はい、おやすみなさい」


挨拶をして、手を振る京子に手を振り返して笹川家を後にする。


てくてくと歩いて、京子の家が見えなくなったところで振り向いた。


「ねえ。そこにいるでしょ?」


声をかけると、京子の家を一歩出た時から感じていた気配がビクリとした。


「出て来なよ。バレバレなんだけど」


声をかけても、出てきづらいのか気配の主は物陰から姿を現さない。


「・・・「お預け」はしないって言っても、ずっとそこにいるつもり?」


そのツナの言葉に、ようやく気配が形となってツナの前に姿を現す。


「申し訳ありません、10代目・・・」


言葉以上に申し訳なさげに顔を歪めて頭を下げる獄寺に近づき、背伸びをしてチュッと額にキスをしてそのまま抱きしめた。


「じゅ・・・」


「もう、しょうがないなぁ」


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