贈呈したもの
□sweet eve
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「とにかく!この件に関しては君が何をどう言ってどんな表情を見せて俺をきゅんとさせようが、「許可出来ない」からね!」
(きゅんとさせるって何!!)
ツナの言葉に、いや獄寺との会話の内容に色々突っ込みたいクラスメイト達の中で、「その状況」を知っている山本と京子だけは笑っている。
「先手打たれたのな、獄寺」
「ふふ。ツナ君、獄寺君の笑顔に弱いの自覚してるもんね」
「ぐっ・・・!」
山本の言うように先手を取られて、獄寺は言葉に詰まる。
「・・・分かりました。でしたら、俺はお先に帰らせてもらいます」
「うん。でね、迎えもいいから。俺が出てくるまで京子ちゃん家の前で待ってたり、俺が出てくるのを見計らって偶然を装うのもなしね。ほんとの偶然でもなしね」
(本当の偶然でもなしなのか!)
何となくその場を離れられなくて会話を聞いているクラスメイトの、心の中で思う事は同じである。
「そんな事したら、しばらくの間「お預け」だから」
「な、何を「お預け」ですか・・・?」
まさか、と顔のひきつった獄寺のその微妙な変化にツナが気付かないはずはなく、にっこりと笑った。
「今君が頭の中で想像してる事全部だよ?」
「そんな、10代目・・・!」
(何を「お預け」されるのーー!)
床に腕と膝をついて打ちひしがれる獄寺が、話している内容は分からなくとも何だか可哀相になったクラスメイトだった。
「獄寺君には可哀想な事しちゃったね」
「うーん、俺もさすがに言い過ぎたかも・・・」
帰り道、京子と二人並んで歩く。
以前のツナだったら、京子と二人っきりの状態なら嬉しくて舞い上がっていたけど。
「すごい寂しそうだったな、獄寺君」
今は獄寺の事で頭がいっぱいなツナに、京子が微笑ましげに笑う。
「ツナ君、本当に獄寺君が大好きなんだね」
「えっ、あ、う、」
「大丈夫だよ」
ツナが振り向くと、京子はさっきと変わらない優しい顔をしている。
「大丈夫だよ。明日チョコ渡したら、きっと獄寺君嬉しそうに笑ってくれるよ」
「・・・うん。自惚れるみたいで恥ずかしいけど、・・・その顔は、想像出来る、かな・・・」