贈呈したもの
□sweet eve
3ページ/4ページ
「「食べるなんてもったいないです!」とか言いそうだよね」
「それ去年言われた。コンビニで買った普通の板チョコだったのに、びっくりするくらい喜んでくれて」
「獄寺君にとっては、ツナ君から貰ったもの全てが宝物なんだよ。羨ましいな、そこまで思ってもらえる相手がいて」
「そ、そう?・・・あ、そういやごめんね、京子ちゃん家お邪魔する事になって。家だと油断するとすぐつまみ食いするランボがいるし、ビアンキに手伝ってもらうとポイズンクッキングになっちゃうし」
「いいよー。花ね、渡す相手がいないからって毎年チョコ用意しないの。今年もしないんだって。だから夢だったんだ、友達とチョコ作りするの」
(黒川、大人ランボはあきらめたんだ)
京子の話に笑いながら、「友達」とはっきり言われたのに普通に受け入れている自分に、「あんなに好きだったのに、げんきんだな俺」と、ツナは思った。
何とか悪戦苦闘しつつもチョコは無事出来て、了平の勧めもあって夕食までご馳走になって京子の家を出た。
「色々ありがとう京子ちゃん。ご飯もごちそうさま」
「ううん。また明日ね、ツナ君」
「送っていこうか、沢田」
「ありがとうございます、お兄さん。でも」
ちらり、と誰もいないはずの背後を見てツナは少し笑う。
「俺も一応男なんで。一人で大丈夫ですよ」
「そうか?極限に気をつけて帰れよ」
「はい、おやすみなさい」
挨拶をして、手を振る京子に手を振り返して笹川家を後にする。
てくてくと歩いて、京子の家が見えなくなったところで振り向いた。
「ねえ。そこにいるでしょ?」
声をかけると、京子の家を一歩出た時から感じていた気配がビクリとした。
「出て来なよ。バレバレなんだけど」
声をかけても、出てきづらいのか気配の主は物陰から姿を現さない。
「・・・「お預け」はしないって言っても、ずっとそこにいるつもり?」
そのツナの言葉に、ようやく気配が形となってツナの前に姿を現す。
「申し訳ありません、10代目・・・」
言葉以上に申し訳なさげに顔を歪めて頭を下げる獄寺に近づき、背伸びをしてチュッと額にキスをしてそのまま抱きしめた。
「じゅ・・・」
「もう、しょうがないなぁ」