贈呈したもの
□いつか君のすべてを
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玄関を開けると、そこにはいつもの満面の笑み。
「おはようございます、10代目!リボーンさんも」
「おはよう獄寺君」
「ちゃおっス」
リボーンは、しゅたっと獄寺君の肩に飛び乗る。
「今日も寒いねー」
「そうっスねー」
答えながら、自然に手を包むかのように握ってくれるそのさりげなさが嬉しい。
「ふふっ」
「どうされました?10代目」
「ん?ううんなんでもない。あったかいなーって思って」
「俺もです。すごく、温かいです」
にこりと笑って、獄寺君は前を向いて歩き出す。
その横顔を見ながら、改めて本当に綺麗な人だと思う。
皆には「不良」の一言で片づけられてしまう獄寺君だけど、本当はとても優しい人だって俺は知ってる。
「俺の事は、あなたが一番分かってくださってると自惚れさせてもらってます。だから、他の評価なんてどうでもいいんです」
何か誤解されてもいつもそう言って、嘘のないまっすぐな瞳で微笑む。
最初は確かめるかのように小さく触れてくる唇の温もりも。
触れた瞬間温度を増すその熱も。
獄寺君の体に染み着いた、ダイナマイトの火薬と煙草の匂いも。
ダイナマイトを持つその手が、指が、本当はピアノの鍵盤の上を踊るように滑り、気持ちのいい音色を奏でる事も。
「10代目」と弾むように俺を呼ぶ声も。笑顔も。
それを全部知ってるのは俺だけなんだって。
「・・・贅沢、だなぁ・・・」
「10代目?」
つい漏れた言葉に、獄寺君が俺の顔を覗き込む。
(あ、唇近い・・・)
惜しい。登校途中の道じゃなければ、キス出来たのに。
もしかしてこの時俺、不満げな顔してたのかな。
「そんな顔なさらないでください。人目も気にせずに、俺もキスしたくなります」
なんて、獄寺君が少し笑って俺の耳元で囁いたから。
「うえっ!?何で分かったの!?」
「顔に出てましたよ。「キスしたいなー」って」
「・・・っっ!」
「それとも本当にしますか?」
「しないっ!・・・って、こら!」
ちゅ、って。耳に、キスされた!