5927(短)
□違う未来の、同じ時に。
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表情に現れていた怒りは白蘭へのものが大半だっただろうけどきっと、自分への怒りもあったのだろう。
側にいながら、ツナを守れなかった自分への。
「だから俺決めたんだ。絶対生き抜くって。生き抜いて、あの時と同じ時代の同じ日に獄寺君の笑顔を見るんだって。獄寺君の隣で、俺も笑うんだって」
「10代目・・・っ・・・」
「一緒に生き抜いていこう、獄寺君。そして「あの時間」に、一緒に笑おう?」
「はい・・・はいっ・・・」
「泣かないでよ」
ツナの肩にサラサラと銀色の髪と。―――止めどなく溢れる雫が触れた。
「10代目、失礼いたします」
断りを入れてから、獄寺は後ろから抱き締めていたツナの体を離し、容易にクルリと回転させて正面から抱き締めた。
「今、俺の顔見ないでください。ひでぇ顔してるんで」
「やだ」
ぎゅうと隙間無くと言っていいほど抱き締めてくる獄寺の腕の中から自分の腕を何とか引き出して、ツナは手探りで獄寺の両頬を捜し当てるとグイッと上に持ち上げた。
「10だ・・・」
思わぬツナの行動に不意を付かれて、獄寺の腕がゆるむ。
「嘘つき。ひどくなんかないじゃん。「嬉しいです」って顔全体で言ってる、俺を喜ばせる顔だ」
頬に溢れる涙を拭いて、そのまま引き寄せ爪先立ちになってキスをした。
下の階から、カウントダウンをする皆の声が聞こえる。
ゼロになったところで、ツナは唇を離した。
「あけましておめでとう、獄寺君。今年もよろしくね」
「おめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」
まだ頬に残る涙を拭いた。
もう一度爪先立ちになり、キスをしようとした時・・・