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□からかうのも程々に
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優しく安心させるような笑顔で甲斐甲斐しく世話をするツナに、獄寺も安心して息を付く。
少し視線をずらすと、ツナの後ろにはプリーモとGの姿も見える。
(朝2人に会ったような気がしたのは気のせいじゃなかったのか。・・・あれ?)
「・・・あの、10代目」
「ん?」
「ちょっと気になるんですが・・・一つお聞きしてよろしいでしょうか」
「うんいいよ、何?」
「Gの頭にでっけぇたんこぶがあるような気がするんですが、何かあったんですか・・・?」
指を指す獄寺の先には、腕を組んでどこか不機嫌そうなG。
「うんちょっとね、獄寺君が寝てる間に色々あって」
にーっこり。
可愛らしく笑うその笑顔にはどこか怒気が含まれていて。
おそるおそるプリーモを見ると、獄寺の聞きたい事が分かったのかこくんと頷いた。
「同情はしてくれるな。自業自得故の当然の結果だ。まったく、Gが調子に乗ると本当に質が悪い」
「だからって殴るこたねえでしょうよ、プリーモ」
「え、殴ったんですか?」
「ああ。お前に似てる顔は殴れないとデーチモが言うから代わりにな」
「・・・実体じゃなくてもたんこぶって出来るんすね・・・」
「名前を使われた分、俺の怒りも込めたからな」
「Gあんた、このお2人が殴りたいと思うほどの何をしたんだよ」
「ちょっとからかっただけだ、まったく純粋すぎるのも考えもんだぞデーチモ。こいつも目を覚ましたし、俺はもうリングに戻る」
誰の反応も待たずにGは赤い炎になって、獄寺のリングの中に戻っていった。
何かを言い返されるのを避けたようにも見えるそれに、よほどGはツナの逆鱗に触れる事をしてしまったんだなと獄寺は理解した。
「Gの奴逃げたな。・・・しかし、俺もそろそろ戻るとするか。1人で大丈夫だな?」
「はい。ありがとうございました、プリーモ」
にこりと微笑んで頭を下げたツナを優しく見下ろして、獄寺に「早く治せよ」と声をかけてプリーモはオレンジ色の炎になりやがてツナのリングの中に戻っていった。
リングの光が完全に消えれば、静かな2人きりの空間。
しばらくリングを見ていたツナは、思い出したかのようにあっと声を上げた。