5927(短)
□からかうのも程々に
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ツナは一旦教室に戻り、教師に理由を告げて自分と獄寺の鞄を持って、そのまま獄寺のマンションへと向かった。
出迎えてくれたのはプリーモ。Gの話とは違い、ツナの姿はしていない。
「朝以降一度も目を覚まさない相手を前に、そんな事をする理由があるか?」
「なっ・・・」
「確かにGに彼の振りをしろと指示をしたが、それはどうあってもデーチモの元に向かおうとする彼の意を汲んでの事。俺がデーチモの守護者を食う?襲われる?全く以てあり得ん話だ」
「・・・Gさん」
「シャレだ、本気にするとは思わなかった。許せ」
「しかも何故律儀に風邪を引いてる振りまでしたんだ、気付くのを遅らせるために超直感を封じた意味がないだろう。そんな余計な事しなければ、変にデーチモに心配させる事もなかっただろうに」
「こいつの性格も完璧に真似出来る自信はあったが、リアリティ重視で。早い段階で気付かれてたから無駄だったが」
「G、またお前はくだらない事を考えて」
「いや、デーチモの反応が面白くて・・・って、え」
ギクリと顔をこわばらせたGに気付いて、プリーモもその視線の先にいるツナを見る。
「・・・・・・」
そこには、物言わず静かに怒っているらしいツナの、怖いくらいに清々しい笑顔があった。
「ん・・・」
額に何か優しい感触がして獄寺は目を覚ました。
「あっ、気が付いた?」
「・・・誰、だ・・・」
「俺だよ。綱吉」
「・・・つなよし・・・」
寝ていてもぐるぐる回る頭でしばらくぼーっとしていた獄寺は、名前を反復してそれから更にしばらくしてからはっと完全に目を覚ました。
「じゅっ・・・10代目!?」
「体起こしちゃだめ、寝てて」
起き上がりかけた体を慌ててまた横にならせて、ツナは安心したように笑った。
「熱、だいぶ下がったみたい。朝よりは楽なんじゃない?」
「あ、はい・・・え?どうして10代目が・・・もう学校終わったんですか?」
「ううん、今お昼をちょっと過ぎたとこ。何か食べる?シャマルがよく効く風邪薬くれたから、それ飲んでまた寝よう?」
「はい。・・・すみません、結局ご心配おかけしてしまったみたいで」
「そんなの気にしなくていいから」