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□からかうのも程々に
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学校に行くと、さすがに皆も獄寺の様子に驚いた。
保健室に行けと言う教師の言葉も無視して、獄寺は教室に居座ったのだけど。
「ツナ、あいつマジやばいんじゃねえの?」
授業中山本にそう声をかけられて、ツナは獄寺の背中を見つめてこくんとうなづいた。
「先生、つらそうなので獄寺君を保健室に連れて行ってきます」
「えっ、10代目・・・」
「そうしてくれるか」
安心したような声音。
誰の言う事も聞かない獄寺がツナの言う事だけは聞くと知っているため、明らかにほっとしたようだ。
「ほら獄寺君、行くよ」
「・・・はい・・・すみません・・・」
立って、と促すツナには逆らえず立ち上がって教室を後にする。
しばらく歩いて、角を曲がり階段の手前まで来た時ツナが足を止める。
「申し訳ありません・・・10代目」
「もう、いい」
ツナがクルリと振り返った。
「・・・それで?本人は今どこにいるの?」
突然の問いかけに、目を丸くする。
「もしかして気付かれてないとでも思ってましたか。そりゃ最初はインパクト強すぎて分かんなかったですけど」
「・・・二度目、だしな。やはりだましきれないか。いつから気付いてた」
敬語を止めたその声は、風邪引きのひどい声でも獄寺の声でもなく。
「朝の「本当に大丈夫なんです」から」
「結構早めに気付かれてたんだな。俺がデーチモの家着く前にジョットが超直感封じてたのに」
「プリーモも絡んでるんですか。いったい何のためにそんな事を」
「念には念を押したつもりが、無駄だったようだな」
姿まで変わったが、ツナは驚かずにじっと相手を見た。
「リング継承の見極めの時は、あいつをそのままそっくり真似する必要はなかったからな。超直感封じに加え、今回はリアリティも追求してみたんだが」
「そんなの追求しないでいいです、どっちにしろばれるんだから・・・って、リアリティ?」
「風邪引いた振りってのも大変だな」
「・・・もう一度聞きます。獄寺君はどうしたんですか。何か理由があるかもと思って今まで付き合ってましたが、もう止めます。正直に話してください」
Gさん、と。ツナは相手の名前を呼んだ。