貰い物

□あなた不足
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私も大学生になって随分たった。

神奈川から東京に出てきて一人暮らしをするようになったことなんて一昔前にまで思えてしまう今日この頃です。


そんな私は中学の時からずっと付き合っている彼氏がいるんですけど…


最近はお互いが忙しくてなかなか会えません。


そのせいで私ものすごく彼不足です!!



でも今日は私は学校お休みで、今とっても暇をもて余しています。


なので私は、彼不足解消のために彼の学校にこっそり潜入したいと思います。


久しぶりに神奈川に帰る理由がこんなことだなんてきっと友達に言ったらバカにされちゃうけど、私にとってはとても大事なことなので何と言われようが行ってやりますよ!!















―――――――
―――――
―――


と、言うわけで来ちゃいました立海。


『うわー、懐かしい。』


私は高校生まで立海だったが大学は外部受験をした。


やりたいことが見つかって、立海にいるより東京の今の大学の方がいいと思ったからだ。



門を抜け、大学の校舎まで行き中に入っていく。


『え、と……そういえば雅治ってどこにいるんだ?』

とぼとぼとあてもなく歩いているがこのまま進んで迷子になったりしないだろうか…


海原祭で何度か大学の校舎に入ったことはあるが、もう何年も前のことだ。

正直不安でいっぱいだが、雅治に会いたいしびっくりした顔が見たいと言う気持ちの方が大きかった。


ずんずん中へと入って行っても生徒数が多いから気付かれることはめったにない。


『…でも、ホント何処に…』

「仁王を探してるの?」

『うん、でも何処にいるかわかんな……え?』


突然私の独り言にスルッと入ってきた言葉に私は答えてしまったけど、よく考えるとおかしいことに気付き声のする方に体ごと向くと、


幸「やあ、久しぶりだね時雨」

『ゆ、幸村君!?ひ、久しぶり…なんか見ないうちにイケメンに磨きがかかったね…』

幸「時雨も綺麗になったよ」


幸村君は前よりもまた背が伸びたんじゃないだろうか。

180センチはあるように見える。

いったい何処まで成長するつもりなんだ。


髪の毛も最後に見たときより短くカットされていて、おしゃれな服装とよくあっている。


幸「なんで時雨がここにいるかは聞かないよ。どうせ仁王をびっくりさせてやろうとかバカップルじみたこと考えてんだろうから。」

『……全くその通りでございます。』


そう言うと幸村君はやっぱりね、なんて言って笑った。

幸「多分仁王は屋上だよ。最近はいつも屋上でテニスコートばっかり見てるから」

『そっか、ありがとうね。幸村君』

幸「いや、構わないよ。久しぶりにあえてよかった。」

『私も!じゃあまた今度ね!』

幸「ふふっ、バイバイ」


手を振って幸村君と別れて、向かった先はもちろん屋上。


早く雅治に会いたい。そんな気持ちが私の足を早く動かす。


息が上がるくらい早く階段をかけ上がり屋上に続く扉を勢いよく開けた。


バンッ


仁「……え、時雨!?なんでここに、」

『あ、会いたくなって…』


勢いよく開かれたドアから入ってきたのは私。


やっぱり雅治はびっくりしたようで目を見開いてこちらを見ていた。



仁「会いたくなってって……ははっ、ホント時雨には驚かされるのう」

『へへっ』

仁「詐欺師も形無しじゃ」

『私詐欺師さんの彼女だからね』

仁「ほれ、こっちおいで」


フェンスにもたれて座った雅治が手招きをしたので私は雅治の膝の上に乗って雅治にもたれかかった。


すると雅治は私のお腹に腕をまわしてぎゅっとしてきた。


『幸村君から聞いたよ。最近ずっとテニスコート見てるんだって?』

仁「おん。最近時雨に会えんかったからテニスしとった時が懐かしくなったんじゃよ」

『私毎日応援しに行ってたからね』


雅治は高校までテニスを本気でやっていたけど大学生になってからはたまにストリートテニス場に行って仲間とやるくらいでほとんどやっていない。


『かっこよかったよね、みんな。』

仁「…“みんな”なんか?」

『一番かっこよかったのは雅治だよ』

仁「ん、そうかのう?」

『自分で言わせたくせにっ』

仁「ははっ、すまんすまん」



笑いながら私の頭を撫でている雅治は機嫌が良いのがよくわかる。


考えてること丸解りな詐欺師ってどうなの。


仁「はあー…ホンマ、落ち着く」


雅治は幸せのため息を吐いて、私の肩に顔を埋めた。

頬にあたる雅治の髪の毛がくすぐったいけど、そんなことが嬉しかったりする。


『雅治は私が学校きて嬉しかった?』

仁「こんなかわええ彼女が俺に会いに東京から来てくれたんじゃ。嬉しいに決まっとる。」

『そっか』


雅治の言ってくれたことが嬉しくてつい頬が緩む。


そんな私を見て雅治は軽く頬にキスをしてきた。


『わっ、どうしたの?雅治がほっぺにキスなんて珍しいじゃん』

仁「かわええから。…時雨こっち向きんしゃい」


雅治の指示通りに顔を向けると、私の唇に柔らかくて熱いものが触れた。


私は目を閉じて雅治からのキスを受け入れた。


久しぶりにこんな甘いとけてしまいそうなキスをしたので一瞬頭がくらっとした。


『ん、…雅治っ…』

仁「時雨…」

『あい、してるっ…』


私がそう言うと雅治からのキスは激しくなって、お互い息も荒くなる。


『んんっ…ふっ……』

仁「…はっ、俺も、愛しとうよ…」

『…ん…んぅ…』

仁「…愛しとう…」


苦しくなって雅治の胸をトントン叩けばようやく唇を離してくれた。


『ふっ…はぁ…はぁ』

仁「すまん、苦しくして…ガマン出来んかった。」

『ううん。…久しぶりだったから…私もこんくらいが丁度よかったかも』


酸素不足と雅治のせいで赤くなった顔を隠すこともせず笑えば雅治はおでこに軽くキスを落としてきた。


仁「今日は学校早退するかのう」

『え、いいの?』

仁「一日くらい構わん。今日は俺んち泊まっていき」

『!うん!』


立ち上がった私達は手を繋いでゆっくりとした足取りで屋上をあとにした。















(あなた不足も)(君不足も)((これで解消))









end
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