忍日記
□よろこびちょうだい
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「…。」
悔しいんだろ?
「…っ、」
なんで…
「…!ぁ、ボッボルトっどうしたの?」
「…アヤカねぇちゃん」
なんで泣かねぇんだよ…
「…なんでだよ…」
「…?ボルト?」
泣きそうになった───
たまに、ナルトとヒナタを見ていると泣きそうになる
ナルトが最後に選んだのは、サクラでもなく、私でもなく……ヒナタだった
───好きだった
友達としても、仲間としても………一人の男としても
ナルトの事が分かってあげられるのは自分だけだと思っていたから
でも、ナルトが選んだのはヒナタで
ナルトにとって私は良き理解者で家族─まるで兄弟みたいな
二人の結婚式の時、
(この気持ちは──もう、仕舞おう)
そう決めた
二人の幸せそうな顔をみたら、何も言えなくて
ヒナタと…ナルトの幼なじみ兼相談役を、受け入れた
憎い訳じゃない
──確かに完敗だったから
寧ろ二人には憧れさえしたから
それでも時々辛くて、夜一人で泣いたりした
お義父さんにも、サクラにも、勿論ナルトとヒナタにもバレないように
「……アヤカねぇちゃん」
バレてないと思ってた
「ボッボルト…?」
まさか、二人の息子に気づかれるなんて
隠していたハズなのに
「どうしたの?」
「…アヤカねぇちゃん、笑わなくていいから」
笑顔のつもりが大分ひきつってるらしい…多分本当に微々たるのもだけど
最初は分からなかった
ねぇちゃんと会うときはうちでかぁちゃんと、ヒマと4人で飯食う時で
いっつも笑顔のアヤカねぇちゃんが大好きで
違和感があったのは、うちに珍しくとぉちゃん(本物)が帰って来た…と言うよりは、第二の側近のアヤカねぇちゃんが無理矢理連れて帰ってきたとき
二人がイチャイチャ…?していたとき
ねぇちゃんが気づかれないように見ていたのを俺は知ってる。
その時から、ねぇちゃんを目で追うことが多くなって
とぉちゃん達を見ているとき、嬉しそうな…悲しそうな目をするんだ
「…アヤカねぇちゃんの悲しみちょうだい」
「…え…?」
「それを全部俺が貰って、綺麗なモノ作って、ねぇちゃんにプレゼントすっから、そしたら、アヤカねぇちゃんのアヤカの喜びを俺にちょうだいってばさ」
「えっ…ちょっと、それは…どーゆう…?」
だーかーらー…と頭が追い付かない私の手を引いて
「アヤカ、好きだってばさ─だから」
よろこびちょうだい
(─!?)
(アヤカねぇちゃん、覚悟しとけよ?)
(えっと─ちょっと─!?)
(だから、ねぇちゃんのいっつもどっかに隠してる悲しみをちょうだいってばさ)
(だからも、なにもっ)
end
チャラン・ポ・ランタン【かなしみ】イメージソング
171019