忍日記
□望まない未来
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「………さん…ぉ…………お義父さん…」
……アヤカ?
「お義父……さ…ん……ごめんね……?」
…どうした?…何で謝るんだ……?…
姿が見えない義娘を探して、弾かれたように走り出した
「アヤカっ!ハァッ、ハァッ…」
何処だっ!何処にいるんだ!
「返事をしてくれ!」
「ぉ……お義父さん……」
「アヤカ!!」
見つけた彼女をきつく抱き締めた
「大丈夫かっ!?怪我はしてないか!?」
体に大きな傷はないが、息が荒く、呼吸が浅い
「ごめんなさ…い、お義父さん」
何度も謝る彼女に、体を離して訳を聞こうと声をかけ………
ゴホッ─────
「アヤカっ!」
口から血を吐き、下腹部には致命傷となる大きな傷に大量の出血──
「おい…っ目を覚ませ、、目を覚ませよ……起きてくれ……っ」
彼女自身の血で汚れた愛義娘が、自分の涙で見えない、
「っアヤカ!」
ガバッ───
起き上がったのはまだ夜中の自分の部屋
「──夢、か……」
はぁぁ……と深く大きなため息
夢でよかった、本当に……
「ぅ…んん……」
隣から聞こえてきたのは愛しい義娘の寝息
「……俺も相当な親バカだな」
大切な人の忘れ形見
「……寝るか」
彼女の頭を優しく撫でてまた、布団に潜る
望まない未来
(──俺(親より先に逝くなよ))
(義娘を目の前で亡くしたくはない)
(忍で……暗部で……)
(そう望むのは、我が儘だろうか)
20170531