恋に落ちた海賊王:ソウシ

□愛の形
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「あれ?ナギ兄がいねぇな・・・。」

甲板の上で、ナギを探すハヤテ。
と、そこへ・・・

「ナギなら、船の下で女とくっちゃべってるが?」

と、下を指差すシン。
ハヤテが上から覗くと

「またランがきてんのかよ・・・。」
「ナギに惚れてるんだろう?毎晩じゃないか。」
「いや・・・みてりゃわかっけど・・・。ナギ兄はどう思ってんのかな・・・。」


今現在のシリウス号は
先日の戦闘で、かなり船が故障したので、近くの港に直るまで停泊中だった。
とある酒場で、たまたま知り合った”ラン”という女が
えらくナギを気に入って、毎晩こうして船まで足を運んできたのだった。


「ナギもまんざらじゃないんじゃないか?あの表情だと。」
「・・・でもナギ兄って・・・。」

ハヤテとシンは、甲板の反対側にいた○○を見た。
丁度、ソウシと出かける話をしていたときだった・・・。

「まぁ・・・ナギが○○に惚れているのはわかるが・・・。○○はドクターのものだからな。」

シンは真顔でハヤテに答える。

「オマエもすきなんだろう?アイツが。」

ハヤテがシンに聞くと

「だとしても、オレはいつか振り向かせてみせるさ。」
「あぁ!?ソウシさんがいんのにかよ?」
「人の心はうつろいゆくものだ。先には何が待ち受けてるか、わからんからな。」
「・・・。」
「ハヤテだって・・・あいつに気があんじゃないのか?」
「!!!なっ・・・オ、オレは別に・・・。」
「顔はそういってないぜ?」

ハヤテを見ながら、にやっとするシン。

「うっせ〜な!!!」

あまりその手の話はしたくないのか・・・ハヤテは船に入っていってしまった。
シンは再び、船の下で話をしているナギとランを見つめる。

(ナギ・・・おまえ・・・それでいいのか?本当に・・・)





「さ、買い物にでかけようか?○○。」
「うん!」
「何がほしいの?」
「え?特には・・・。」
「そうなのかい?」
「たまには・・・ソウシとお出かけしたかっただけだから。」
「ふふ・・・じゃあ今夜は宿にでも泊まろうか?」
「!!!そ、そこまでは・・・別に・・・。」
「たまには思う存分・・・?」
「ソウシ!!!」
「ふふ・・・冗談だよ。さ、時間がなくなるよ。」
「うん。」


ソウシと○○は、船から下りると
まだナギとランが、楽しそうに話していた。
どっちかというと・・・ランが一生懸命話してるようにも見えるが。

「こんばんわ。ランちゃん。」
「あ、ソウシさん!こんばんわ!それに○○さんも!」
「あ・・・こんばんわ・・・。」

○○には、若干違和感のある相手のラン。

(また今夜もナギさんのところにきてるんだ・・・)

○○はチラっと、ナギの横顔を見た。

(ナギさんも・・・なんだか嬉しそう・・・)

その様子を見ていたソウシは

「○○?行くよ?」

と、○○の手を取り、市場のほうへ向かって歩き出す。



「ナギさん?」
「あ・・・わりぃな・・・。」
「ソウシさんと・・・なにかあったんですか?」
「は?」
「ソウシさんの背中を、悲しそうな顔で見つめていたようなきがして・・・。」
「なにもねぇよ。」
「ナギさんには、笑顔が似合います!悲しい顔は似合いませんよ!」
「ランは天性の明るさだからな。」
「それが私のとりえですから!」
「オマエはいいな・・・強くて・・。」
「それもあたしのとりえです!!!」
「オマエみてると元気が出てくるな。」
「そう言ってもらえて嬉しいです!!!」


ランは天性の天真爛漫娘。
ナギが不機嫌になろうが、黙ってようが
とにかく明るくて、何事にもめげない強さを持った女性だった。


ランが家に戻るというので、途中まで送るナギ。
その帰り道・・・。
ナギは胸ポケットから煙草を取り出し
その場で腰掛けて、一服しはじめた。

(ランといると、楽だな・・・あいつは根っから明るい・・・でも・・・)

夜空を見上げて、ふと・・・○○のことを思い出していた。

(○○・・・)





一方のソウシと○○。
ソウシも○○も、ランという女性が気になって仕方がないのだが・・・。
表面に出すことはなく
ただ、心の中で思うだけ・・・。


(あたしはソウシの彼女なのに・・・なんでランさんが、気になるんだろう・・・)

(ナギはランちゃんのこと・・・どう思ってるんだろうか・・・)



それぞれの思いは複雑なまま・・・
また時間が過ぎていく・・・。









〜続く〜








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