01/11の日記

22:01
笑顔で1年を 人も地域も明るく
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 子どもたち、あけましておめでとう。今日は、新年第1回の連載ですから、私のこの18年の戦いの中で、一番幸せだったことを書いてみます。

 今から8年前です。私は、神奈川県のある中学校で、中学3年生を対象に講演会をやりました。2月、卒業式のちょうど1カ月前でした。講演後、1人の生徒が私に質問してきました。「夜回り先生、私たちにその怖い薬物や魔の手が近づかないようにするには、今、私たちに何ができますか」。私は、答えました。「笑顔のあふれる家庭、学校、地域には、薬物や魔の手は近づかないよ」と。そしたら、また尋ねてきました。「先生、どうしたら笑顔があふれますか」。私は、「まずは、挨拶(あいさつ)、声掛けをしてごらん。出会った人、仲間、家族みんなに。特に、お年寄りに」と答えました。私が帰ったあと、彼らは臨時の学年集会。後輩たちに卒業後、明るい地域、学校を残そうと、みんなで毎日、地域で、学校で、挨拶と声掛けをしました。

 その春、この中学の校長先生から手紙が届きました。その中には、手紙のコピーが入っていました。私は、それを読んで泣きました。久しぶりのうれし泣きでした。手紙には、こう書いてありました。「私は、そちらの中学校の通学路に住む、67歳のおばあちゃんです。10年前に夫を亡くしました。私には、子どもも孫もおりません。ずっとお迎えが来ることを待っていました。そしたら、2月の中頃(ごろ)から、私が朝、道を掃除していると、お宅の生徒さんが、おばあちゃんおはようと、声をかけてくれました。持ったことのない子、孫を持ったような幸せな気持ちになりました。また、私が重いゴミや荷物を持っていると、たくさんの生徒さんたちが手伝ってくれました。私のお茶のみ友だちになってくれた生徒さんや卒業生もいます。そちらの生徒さんたちは、私に人生最後の花を咲かせてくれました。そのお返しに、この春、たくさんの花の種と苗を庭に植えました。咲いたら、お届けします。子どもたちの教室に返してあげてください」

 子どもたち、今、何か優しさを配ることが、みっともないことや恥ずかしいことのように思われています。でも、人から優しさを取ったら、獣になってしまいます。子どもたち、今年は、家庭を、学校を、地域を、笑顔で満たしませんか。まずは、毎日君たちが、明るい笑顔で、町の人たちに挨拶することで。下を向いている哀(かな)しそうな顔をした仲間や後輩に、「どうしたの」と優しいことばをかけることで。私は、今年も、命ある限り、夜の世界で、とびっきりの笑顔と優しさを子どもたちに配ります。

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