おはなし T
□思う気持ち
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思う気持ち
「ユーリ、聞いてくれ。
おまえのことを考えると気が重いんだ。
おまえが誰かと話をしていると胸がチクチクするし、
おまえが側にいないと、心がキュウと苦しい。
僕はどうしてしまったのだろう?」
ソファの上で何気なく告げられた告白。
ユーリはグローブを磨いていた手を止めた。
「僕はおかしい・・・・・」
刹那、ユーリはヴォルフを抱きしめた。
言いかけるヴォルフが堪らなく、愛しい。
「ヴォルフは、おれのことすきなんでしょ?」
「違う! そんなんじゃない。
ユーリが心配をかけるから・・・」
そのままヴォルフラムは黙ってしまう。
「なぁ、ユーリ。す、好きと言ってくれ」
小さな声で、顔赤くして。
「『すき』でいいの・・・」
「な、何を言っている。もういい、言わなくていい」
それでもユーリから離れていかないのは、きっと彼なりの素直さで。
「愛してる、ヴォルフ。・・・おまえは?」
聞き返された返事も、やはり彼らしいものだった。
「僕は、ユーリのことなんて大嫌いだ!」
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