いただきもの

□EVERYTIME KISS
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―――朝


やわらかな朝の日差しと、暖かい温もりに抱かれて、ゆっくりと目を覚ます。
薄く目を開けると、愛しい漆黒の瞳がこちらを覗き込んでいた。

「おはよう、ヴォルフ。」

いつもとは違う、自分一人にだけ向けられる甘い声に酔い痴れていると、唇に柔らかな感触が降りて、そして離れていった。
思いを通じあわせるようになってからというもの、朝起きたときの口付けは日常的なものになった。
お返しとばかりに首を持ち上げて、彼の唇に自分のそれを軽く押しつけてから離す。
すると彼は僕の上に覆い被さり、何度も何度も唇をはんできた。

「・・・んっ、ふぅ・・ゆ、り!離せッ」

なかなか離してもらえず、苦しくなって抵抗していると、ようやく長い口付けから解放してもらえた。

「長すぎだ、へなちょこっ!」

苦しさから完全に覚醒し、怒りに任せて睨み付けた。
するとユーリはクスリと笑い、不機嫌から尖らせた唇に音を立ててちゅっと吸い付いた。

「加減をしろ!」

「だってヴォルフがあんまり可愛いことするから。」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべてながら、ネグリジェの下に手を滑らしてきた。
思わず、肩がびくりと震えてしまった。

「ヴォルフ、可愛い。」

どんどんユーリの顔が近づいてくる。
このままではユーリに流されてしまう!
そうすれば、朝食を待っていると思われる兄上や母上、ましてやコンラートになんといわれるか!
意を決してユーリの頬に手を添え―――力一杯捻った。

「いったぁ!何すんだよ、ヴォルフ!!」

「ふんっ!ほら、着替えて朝食に行くぞ!」

「ちょっと待てよ!あぁ、もうっ!」

「ちょっ!ユーリ?!」


ユーリの声が血盟城にこだまする。


これが僕らの朝の日常。

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