きかく・はくしゅ

□振り回される人々
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振り回される人々
    ―ヨザック―

血盟城の朝は早い。
食事の支度をする者もあれば、庭木の手入れや清掃する者と城内が忙しない。

「帰って来たって感じだねぇ。」
オレは1ヶ月ぶりのこの光景に安堵する。
「あぁ、ヨザ。帰ってたのか?」
突然掛けられた声に振り向くと、好青年が笑みを浮かべて近付いてくる。
「今着いたところですよ、隊長。ところで、どこか出掛けるんですか?」
「あぁ陛下のところにね。朝トレのお誘いに。」
「朝とれ…運動ね。…オレも一緒させて貰おうかな。」
前から、坊っちゃんとの朝の運動に参加したいと思っていたオレの提案は「いいんじゃないか」と簡単に承諾された。

「ねぇ隊長。坊ちゃんを起こしに行くんならオレが生きますよ。」
「ヨザック、気合入れて起こさなければならないぞ。」
隊長は渋い顔をする。
「平気ですよ。ヴォルフラム閣下はちょっとやそっとじゃ起きないでしょ。」
「そうではないのだが…」
何か言いたげな隊長に、「大丈夫ですよ〜。」と返事して、坊ちゃんの部屋へと向かった。



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