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□任務
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ねぇ、ぼくを抱いているこの腕の意味はなに?

触れられる手に、体中に落とされるキスに痺れる感覚を覚えていても、素直に溺れてしまえないのはぼくの頭に聞くはずもなかった君の言葉がループするから。

「―猊下をお守りするのがオレの任務ですから――」




「仕事だから、ぼくを抱くの……?」

乱れた息を整えながら、その直後には相応しくない質問をしてしまう。

困った顔をして、それでもぼくを抱き寄せる逞しい腕にさっきまでの不安が消えていく。
なんて支離滅裂な感情……。

「どうしたんです、猊下?オレといるのが嫌になりました?」

優しく撫でる大きな手がひどく愛しくて、泣きそうになる。

「聞こえたから。……任務だからそばにいるって」

泣いてはいけない。
彼がそのつもりなら、ぼくも心を決めなければ。

4000年もの時間の中には比べものにならないくらい辛いことがたくさんあったはず。だから、これくらいどうってことない…。





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