おはなし T
□sugar night
1ページ/4ページ
…コツ コツ コツ
廊下から足音がこちらに向かって響いてくる。
そして遠慮がちに、そおっと扉が開かれる。
「…なんだ ヴォルフまだ起きてたんだ」
部屋の主であるユーリはベッドの上で本を広げている彼に話し掛けた。
そんな彼は読んでいた本からほんの少し視線を上げ
拗ねたように返す。
「遅いぞ、へなちょこ!」
もう聞きなれたお決まりのセリフ。
それに心なしか安堵を憶え微笑んだユーリはベッドに上がり
ヴォルフラムの読んでいる本の表紙を裏から覗き込む。
「そんなに真剣に何、読んでんの?
・・・『どくじょ、うみをわ・た・る』・・・?」
.