おはなし T

□sugar night
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…コツ コツ コツ
廊下から足音がこちらに向かって響いてくる。
そして遠慮がちに、そおっと扉が開かれる。

「…なんだ ヴォルフまだ起きてたんだ」

部屋の主であるユーリはベッドの上で本を広げている彼に話し掛けた。
そんな彼は読んでいた本からほんの少し視線を上げ
拗ねたように返す。

「遅いぞ、へなちょこ!」

もう聞きなれたお決まりのセリフ。
それに心なしか安堵を憶え微笑んだユーリはベッドに上がり
ヴォルフラムの読んでいる本の表紙を裏から覗き込む。

「そんなに真剣に何、読んでんの?
・・・『どくじょ、うみをわ・た・る』・・・?」



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