おはなし T
□不意打ち
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目の前には、嫉妬心に火がついて今にも燃え盛らんとする我が婚約者。
原因は多分…いや、明らかにおれ。
ギュンターが城内の制服を変えるから確認をというので、試着したメイドを見ていた。
そこで思わず「かわいい」と言ってしまった。
ホントに深い意味は無く、単純に小動物を見る感覚の一言だったのに…。
勘違いだと慰めても効果はないほどヴォルフラムは拳を握り、肩を震わせ、目には涙を溜めている。
「ユー…」
ちゅっ
怒鳴り出す前に、唇を塞ぐ。
言葉より確実に気持ちが伝わるかな、と思って。
「ごめんな、ヴォルフ。不安にさせちゃったな。」
「…この尻軽!これで誤魔化せると思うな!!」
でも、大丈夫そう。
怒っていながらでも照れてるヴォルフラムに会えたから。
「ホントにお前はへなちょこだ……(ふんっ!)」
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