おはなし T
□横顔
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ぼくは、いつもユーリの横顔を見ている。
兄上と国政について話している真剣な横顔。
ギュンターと眞魔国について学んでいる困った横顔。
コンラートと野球の話しをする楽しそうな横顔。
グレタを慈しむ横顔。
国民に向ける慈悲深い横顔。
こころが痛い。
そこにはぼくのことを思ってくれる余地はないのだろう?
「ヴォルフラム、もしかして、調子悪いか?」
「大丈夫だが、どうして?」
「さっきから、辛そうな顔してるぞ!
お前になんかあったら、おれが不安になるからちゃんと言えよ。ちゃんと横にいろよ」
真正面に向けられる顔、声、手。
「ユーリ…」
ユーリ。
ぼくは、お前の隣でいつもいつも、横顔を見てやる。
お前が不安にならないように。
ぼくが不安にならないように。
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