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□・出生〜〜〜・現在
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俺は、何処で、何時、何故生まれたのか
わからない。

ただ、
いつの間にか、俺は出来ていた。



俺の母は放浪癖のある人だった。

一ヶ月や、五ヶ月、
長くてニ年という事あった。

そんな母に、
母の妹と弟、
つまり叔母と叔父は呆れ果て、
あまり気遣わなかった。


ある日、母がまた何処かへふらりと行ってしまった。

叔母と叔父は、
『あぁ、またか』
と、あまり気にしなかったらしい。


それから一年。

母が叔父の所へ、
ふらりと帰ってきた。

だが、叔父は不思議に思ったらしい。

母は脇に、
荷物でも抱えるように、
赤ん坊を、
つまり、俺を持っていた。


叔父は母に詰め寄り、
色々と問うた。

だが、母の態度は軽くかったらしい。

『その男の子は?』

『知らない内に出来てた。』

『その子の父親は?』

『誰かな?』

叔父はただ呆れた。

そして次に俺の手足の指を数えた。


母は煙草やお酒、
更には麻薬をやっていたらしく、
その子の俺の身体に、
異常がないか心配になったらしい。

取り合えず、
手足の指は10本ずつある事に、
叔父は安堵したらしい。






その後、
このような母の為、
叔母、叔父、親戚の皆が、
度々様子を見に来てくれる様になった。

そしてある日
素っ裸の男と、
布団に包まれ、
縄?(ロープだったかもしれないが)で
縛られていた俺がいた。


叔父は直ぐに俺を解き、
抱き上げながら、
その男の股間を蹴り飛ばした。


布団から解放された俺は、
弱々しくも鳴いたらしい。


病院で診てみると、
身体になんともなかったが、
もう少し縛られたままであれば、
俺は呼吸が完全に止まり、
死んでいたらしい。





これが二回目。


急いで手術が始まった。


手術が終わり、
俺は暫く入院したらしい。

ここも、あまり記憶が無いので省くが、
難しい手術だったらしい。

なにより俺は幼稚園児、
助かったのは
奇跡に近いと言われたらしい。


何故俺が血を吐いたのか。

それは、
母が余りにも強い力で、
俺を抱きしめたのが原因らしい。


一週間、なにも
食べなかったのかはわからないが、
俺の身体はやせ細り、
骨が浮き出る程痩せていたらしい。

その状態で強く抱擁をした為、
俺の骨が折れ、
血を吐いたらしい。

臓器に突き刺さらなかったのは、
不幸中の幸いだったらしい。

もし一つでも、
臓器に突き刺さっていれば、
大量出血、臓器破損、
栄養失調が重なり、
確実に死んでいたらしい。


これが、三回目。
俺が今まで生きてきて、
死にかけた事の全てだ。
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