記念小説
□星に願いを
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「だってさ、織姫と彦星は運命の糸で繋がれてるんだよ?
年に一回しか逢えないけど、離れていても心はずっと繋がってる
だから、どんなに曇っていて視界が悪くても、きっと二人は巡り逢える
そうでしょ?」
快の言っていることは、若干妄想が入っているような気がする
けど、そう俺に語る快の笑顔を見ているとそうなのかもな、って思えてくる
俺はひそかに、俺と快もそんな糸で繋がっていたらいいのに、なんて思った
これからどんなことが起こるかわからないし、もしかしたら離れ離れになるかもしれない
そうなったとしても、どこにいてもお互いの心が繋がっていてほしい
そう思った
「俺、書いたよ!!」
そう言って見せてきた短冊の数・・・8枚ι
どれだけ願えば気が済むんだよ・・・
てか、今思うとどうして七夕の日に願いごとを書く風習があるのだろう?
「俺、飾ってくるから!
あおちゃんもその短冊に書いといてねー」
そう言い残してベランダに立て掛けてある笹の方へ嬉しそうに走っていく快の背中を眺めていた
手元に視線を落とすと、快が渡した短冊
「はぁ・・・」
書くか・・・
願いごと・・・そんなものない
そう言いたいのは山々だが、ひとつだけある
多分あいつと出会ってから、ずっと何処かにあった願い
俺はその願いを書いて笹に短冊を結ぶ
「あおちゃんはなんて書いたの??」
「秘密だよ、秘密///」
言えるはずがない
柄にもないことだから