† 集団エゴイスト †

□第一話 Movement〜胎動〜
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---早く思い出して・・・






------早く・・・・・・







-----------早く・・・





***




沢田綱吉14歳。

並盛中学2年生。

勉強・運動等何をやらしてもダメダメ。

付いたあだ名はダメツナ。



「なーんて今更自分をちょっと振り返ってみたり…。」


ここは並中の体育館。
そこに今いるのは俺一人だけ。
そして、俺の手にはモップ。


先程クラスメート達(名前何だったか忘れた…というより覚えてない)に

『ダメツナのせいで俺達のチームが負けたんだからな!片付け・掃除はお前だけでやっとけよ。』


と、いつものことながら見事に雑用を押し付けられてしまった。


あーあ、面倒臭い。


毎回毎回あいつらもよく飽きないよな。

っていう俺も人の事言えたもんじゃないけどさ。


自分のチームを絶対に負けに導く為に、勝つよりも難しい小細工を周りにばれないようにわざわざするのなんて、全国広しといえども俺くらいじゃないかな?



(ま、こんなの自慢にもなりゃしないけどね(笑))


なんで俺がそんな真似をしているかというと…。

俺は所謂“特殊”な人間らしい。
幼い頃にそれをいつの間にか理解していた俺は、処世術のために自分の中の力をひた隠しにすることにしたのだ。

じゃあ、なんで並一般レベルのキャラじゃなくて、限りなくダメな奴を演じているのかというと…。

実は俺にもいまいちはっきりとした理由が分からない。

不思議だけど、本当に知らないうちにそういうふうになってたのだ。

今からでも普通レベルにしようと思わない事もないけど…頭のどこかでそれを拒否しているのだ。

俺は昔かり直感力がすごく、特に危機的状況や嫌な予感は外れた事がない。

今回のそれも、嫌な予感の方の直感が働いているので、俺は今の今までそれに従って生きてきたって訳だ。



ふと、俺の視界に一つのバスケットボールが映った。


ひょいっとそれを拾い上げ、俺は後ろを振り向きもせず、それを軽ーく後ろに投げた。


(面倒臭い。やっぱ今日はこのままサボって帰っちゃおう。)



俺が体育館の扉を閉める音と同時に、今まで宙を舞っていたボールがボール籠の中に入った『ポスッ』という音も聞こえて来た。



ボール籠と先程ツナが立っていた位置は、ちょうど体育館の端の対角線。
あの距離を、軽々としかも後ろ向きで投げた球で入るだなんて、普通の者に出来るわけがない。



あいにくその場には、本当の彼---素晴らしいまでの頭脳と並外れた運動神経を有している---を見た者がいなかったが。



(また学校サボったって知ったら母さん怒るだろうなぁー。)



まぁいいけど。
体調悪いって事にすればいいか。


(ってアレ?本当にちょっと体調変かも…?)



---ちっ、また“アレ"か。

まぁ放っとけば治るし、そんな大層な病気ってわけじゃないからいいけど…。

そんな事を思いながら、俺は帰り道を進んで行った。





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