† 集団エゴイスト †
□番外編陸 時渡る虹
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(どこだ…?)
目を開いて見えたのはどこかの施設内らしい部屋。
研究所らしい施設の様子に、おしゃぶりが開発された場所だろうか?と期待に胸が高鳴る。
だが、ふと違和感を感じよくよく周りを観察してみれば…
(なんだ…)
過去に自分達が使っていた研究所ではないか。
はぁ…と俺は溜息をつく。
どうやら実験は失敗だったようだ。
いや、過去の記憶を見せているのは確かなようなので、一概に失敗とも言えないだろうが、これは俺が見たかったものではない。
期待していた分、落胆も大きい。
すぐに実験を中止してもとの時に戻ってもよかった。
だが俺は、一体おしゃぶりが俺に見せようとしている記憶が何なのか、少し興味が湧いたので、結局そのまま続けることにしたのだった。
しばらくは何も起こらず時が過ぎていった。
研究所には誰もおらず、しんとした静けさが空気を満たす。
(何で誰もいねえんだ?)
普段から研究所に篭り気味だった自分達が揃って席を外すことは珍しい。
これがいつの時なのかいまいち分からないので、自分で思い出すこともできない。
そんなことを考えていたら、誰かが扉を開ける音がした。
「………。」
そっと扉から身を滑り込ましてきたのは、一つの小さな姿。
(子供…?)
それはまだ年端もいかぬ幼い子供だった。
何故こんなところに子供が?
規模はそれほどでかくないといっても、この研究所にはそれなりの警備システムがおかれている。
それにここでは巨大なイタリアンマフィアと合同で研究していたため、関係者でない限り容易に近づくことさえ出来ない。
つまり、ただの子供が入り込める場所ではないのだ。
研究員の子供か…マフィア関係の奴の子供か。
自分の知らない内にガキが研究所に忍び込んでいたことに、俺は怒りを感じた。
もし大事な研究資料に触られ、壊されでもしたら一大事だ。
過去の出来事に手を出すことはできないので、俺は怒りと悔しさで唇を噛み締めながらことの顛末を見守った。
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