† 集団エゴイスト †
□第八話 Encounter〜遭遇〜
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<スクアーロside>
家光の手下を追ってやってきた日本のナミモリという街。
休日の午前中ということもあってか、賑わう街中は平和そのものだ。
そんな中を、俺のような裏世界の人間が堂々と追跡・破壊活動を行っているんだから、世も末だな、こりゃ。
なんて他人事のように考えながら、俺はじわじわと追い詰めていた相手との決着をつけるべく、どこかのビルの上で対峙した。
確かにこの歳でこれだけできれば、相当のもんだろう。
流石家光の秘蔵っ子、といったところか…。
だが、俺の瞼裏に浮かぶ小さな子供の姿が、これ以上の圧倒的な力を思い出させてくる。
---まだだ。
-----あいつの力はこんなもんじゃなかった…
-------もっと、もっとだ
途方もない期待と虚無感に苛まれた俺の身体が、殺そうとまでは思っていないはずの獲物に、きつい一撃を放つ。
「う゛おらぁぁーッ!!こんなもんかカスがぁ!!」
剣を薙ぎ払うように向けた相手は、ブーメランのような武器で受けてたつも、剣圧に耐え切れず、地上にふっとんでいった。
ふんっ、と鼻で息をつきながら、小柄な少年の落下点に視線を向ける。
−−−と、そこには
「おいおい…、こりゃまじで偶然か…?」
何度も何度も記憶に甦り、思いを馳せた相手。
記憶の中の小さな身体が成長し、それでも華奢で綺麗な姿形はそのままで…。
「………ツナヨシ…」
沢田綱吉はそこにいた。
*******
<ツナside>
空から人が降ってきた。
いや、正解に言えばどこかの建物の屋根から吹き飛ばされてきたらしい人物は、俺とそう歳も変わらないであろう少年だった。
落下地点はまさに俺の真上。
横には京子ちゃん達。
偶然を装ってダメツナらしく慌てて回避してもいいが、先程からのこれらイレギュラーな気配達に感じる既視感に、俺は無意識のうちに少年に向かって腕を延ばしていた。
「ツナ君危ないっ!!!」
「うわぁっ…!」
京子ちゃん達の手前、ダメツナのふりをしながらだったが、こっそりと俺は落下してくる少年や俺に重圧がかからないよう力をいなしながら受け身をとった。
「いててて…;」
「……くっ…すみませぬ…」
よいしょと身体を起こしながら腕の中に抱き抱えた少年を見てみると、どうやら意識を取り戻したらしく、頭に手をあてながら少年も上半身をおこした。
そこにあったのは空色に澄んだ瞳だった。
日本人にはあまり見られないであろう色。
「君は…」
「おぬし…!!」
俺と少年は同時に声を発した。
「くっ、ここは危ないです。こっちへ…!」
「えっ…?ちょ、ちょっと?」
何か言いたげな口をはっと閉じ、少年は俺の腕を掴むやいなや、さっと身を翻して走りだした。
それにつられて俺も少年に引きずられるように後に続く。
「ね、ねぇちょっと!!」
俺の困惑した声に答えようともしない、いや、答える時間も惜しいかのように少年はずんずんと先へと進んでいったのだった。
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<リボーンside>
ゲーセンに入って騒ぎまくる獄寺達を尻目に、俺はふと異様な気配を感じて外へと出た。
「何かくるな…」
気配は二つ。
おそらくツナはもう気付いてるだろう。
スピードや気配からして裏の世界の奴らに間違いねえだろうが、一体目的は何だ?
(まさかツナのことを嗅ぎ付けた敵対ファミリーの奴らか…?)
ツナのことは未だ極秘扱いだが、裏の世界はハイエナみてーな奴らの集まりだ。
奴らは敵の弱点になるものなら何にでもたかるだろうし、それが関係ねぇ人間がわんさかいる白昼堂々の街中だろうがお構いなしだ。
ツナがそこいらの奴らに負けるとは勿論思ってねぇが、だからといってほかっとくわけにもいかねぇ。
(ツナの側には、まだ京子達がいたな…)
本性を隠すにしても、周りの人間は今のあいつには枷としかならない。
あいつは自分が本性を隠しながら戦うとなると、自分を傷つけることも躊躇しない。
本来なら無傷ですぐに片付く相手でも、無駄な怪我をしながらぎりぎり仲間を守って戦うだなんて…
(っ…馬鹿以外の何者でもない…!)
下唇を噛み締めながら俺は眉を寄せる。
だが、それらの行動はツナが悪いわけではない。
そうせざるを得ない状況にした周りの罪だ。
あいつが好んで自己犠牲を払ういわれなどこれっぽっちもないはずだ。
あいつがこれ以上傷を背負い込む必要もまったくない。
「っ…くそ…!」
俺は言い知れぬ憤りを感じながら、急いでツナ達のいる方向へと足を向けたのだった。
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