† 集団エゴイスト †

□番外編陸 時渡る虹
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神に愛され、



神に呪われた




優しい子。




ああ、咎めるべきは道を踏み外した他の者なのに…





その罪を償うのは無実の幼子




ああ優しい子





その進みし先に、幸多からんことを






ただただ 祈るべし






******
<リボーンside>



モノという漢字には人を表す『者』と物体を表す『物』がある。

だがそれは人間が自分勝手に決めた囲いであり、本来ならその違いなどほんの些細なものなのだ。




万物のものには心がある。


生物はもちろん木も石も水にも心は宿っている。



物に心がないと思うのは人間の傲慢な勘違い。


だが、『物』の心どころか、隣にいる同じ人間の心さえ上手く分からない奴らが言葉を持ち合わせない『物』の心を理解するのはほぼ不可能に近い。



それが出来る人間がいるとすれば、よっぽど頭がいい奴か、よっぽど頭が狂ってる奴だろう。






「さあて、俺らははたしてどっちだろうな?」


「ちゃかすなリボーン、コラ。」




先日アルコバレーノが独自の研究を重ね開発したモノの記憶を読む装置。


これはモノと共鳴することにより、モノが体験した記憶を自分にも見せることができるといったものだった。



「これを使えば、事件現場のモノの記憶を見て、犯人なんて一発で見つかるよ。」


探偵業で一稼ぎも悪くないよね、といつもの如くちゃっかりしてやがるマーモン。



「ふん、だが悪用しようと思えばいくらでも手段があるのも事実だな、コラ。」

マーモンの言葉にコロネロが眉をひそめながら答える。



「プライバシーの侵害にも繋がりかねないしな。」


コロネロ同様ラルも、今回の発明品には注意が必要だと念押しする。




「恐い恐い。まあ私達はただ自分達のために作ったのであって、ほかの誰にも使わせる気はありませんけどね。」



勿論本気で恐がってなどないことは、ヴェルデ本人の顔が物語っている。



「確かにな。よし、それじゃあ早速始めるぞ。まずは、俺のやつからだ…」






俺は自分のおしゃぶりを装置の中にセットする。



「準備OKです先輩。」



俺らがこれを作った理由はただ一つ



一体誰がこんなものを作り、俺らのもとにきたというのか。




「一応このおしゃぶりがもつ一番最初の記憶に装置をセットしましたが、上手くいくかどうかの保障はありませんので…」


「いつの記憶を見せてくれるのかはおしゃぶりの気持ち次第ってわけか、コラ。」

「ふん、上等だぞ。」




はたして吉とでるか凶とでるか…

それは最強と謡われるアルコバレーノにもわからない。
結果を知ってるのはきっと神か仏か閻魔のみだろう。



「いきます…」


装置が視界を遮り、目の前は人工の暗闇に覆われた。



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