† 集団エゴイスト †

□第九話 substitute〜代役〜
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代わりとは則ち予備。



本物を守り、また後を次ぐための繋ぎ。



予備はいくらでも代えがきき、便利な一方オリジナルにある希少価値というものがほぼ欠落しているといっていい。




それでも、人の代わりとして生まれてきたこの身に後悔などしていない。



貴方の、彼の、誰かの代わりになり、貴方の役に立つというのなら、これ以上何を望むというのか。



自分に課せられ、自分で決意し、自分で歩もうとする運命に、何の不満があるだろう。




自分は貴方の為にこの生き方を選びました。

貴方のその背中をそっと支える細い棒。


そんな些細なものになりたい。


どんなに力を加えられようと、決して自分は折れません。



例えこの身が闇に埋もれようと、貴方だけは守り切ります。





だから、いつも貴方の側に控える資格を下さい。



・・・早く


・・・・・・・早く








*******





ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜








盛大な騒音が一定のリズムで流れている。








ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜




ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜






・・・・・・ムカ。







ぐがぁぁぁ〜ぐっっぶふ!!!






あまりにもその呑気な寝顔と下着一丁というみっともない格好に軽く頭にきた俺は、親父の顔に座布団を押し付け、いびきの出所に空気が入らないよう蓋をしてやった。




はぁ・・・




騒ぎの後、家に帰って俺がまず目にしたのは、居間で酒缶をあたり一面に散らかし、気持ち良さそうに寝ていた酔っ払いだった。


これが自分の父なのであるという大変認めたくない事実に頭痛を感じる俺。知らず知らずのうちにため息が漏れてしまうのもしょうがないことだ。







これと俺の血が繋がってるというだけでも驚きなのに、さらにこんな冴えない親父がイタリアで1・2位を争う巨大マフィアのbQだなんて・・・




はたして世の中本当にこれでいいのか?と小1時間考えこみたくなる。







………ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜



ぐがぁぁぁ〜ぐごぉぉぉ〜






・・・・・いらっ。









「っぐ・・・・・・っぶっっはぁぁぁぁ!!あ〜苦じいぃ!!まじで死ぬかと思った!;」







っち、もう起きやがったか。








「やっと起きたの父さん?まったく何いい大人が昼間っから呑気に酒飲んで昼寝してんのさ?」




「おうツナ!!!久し振りだな〜!!ところで、父さんの顔の上に乗っかってたこの座布団の山は何だ?」




そりゃもちろん誰かさんの息の根を止めよ・・・・静めようと、ありったけの座布団を重ねただけだ。









「父さん薄着で寝てたから風邪でもひいちゃいけないと思って、上に掛けといてあげただけだよ。ほら、ここ布団なんてなかったから代わりに座布団でさ。」




「おぉ、そうだったのか!!いや〜ツナは相変わらず優しくて可愛くていい子だな〜vさっすが俺とナナの子だぜ!」







・・・・・・ダメだこいつ。



数年ぶりの再会だし、そろそろこのどうしようもない親馬鹿っぷりも治っているだろうとおもってたけど・・・相変わらずみたいだし。






がははは、と陽気に挨拶するオヤジに俺は頭を抱え込みたいくらいずっしりと徒労感を感じた。




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